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死体を積んで出来た山に狙いをつけて放った矢は、その山を一気に貫いて消し飛ばした。
尻尾を巻き付けて支える物が側になかったため、矢の威力に押されて多少はブレてはしまったが、まぁ……それでもなんとか狙い通りに撃つことが出来た。
「ふぅ……まずは一つだね」
俺は額の汗を拭いながら息を吐いた。
【ダンレムの糸】はクールタイムを考えると、一発も無駄撃ち出来ないからな。
いくら動かない的とはいえ、外したらどうしようってプレッシャーはあったんだが、良かった良かった。
ともあれ……もう一つの山も消滅させるには、後十分待たなければいけなくなったわけだ。
この十分をどう使うか……は決めている。
「森を見て来るかね」
いなくなった咆哮の主が気になるし森の捜索も行いたいところではあるが、帰還の時間を考えると、迂闊に魔境に乗り込むわけにはいかない。
やっぱり魔物の数も性質も全然違うし、下手に絡まれて戦闘になったら、しっかり全滅させないとこちら側にも被害が出かねないからな。
だから、時間に余裕があまり無い状況で魔境に入り込むのは避けた方がいいんだが、十分程度なら大丈夫だろう。
【ダンレムの糸】だけじゃなくて、他の恩恵品も一旦解除した俺は、改めて森に入る準備に取り掛かった。
「当然【風の衣】はこのまま継続で……【妖精の瞳】は捜索だし必要だよね? んで、【影の剣】と【琥珀の盾】も急な遭遇に対処するには必要で……こんなもんかな?」
俺は名前を挙げた恩恵品を、順に発動していく。
魔境じゃなくて、リアーナ領の森を捜索するってだけなら、何も考えずに移動の邪魔にならない物全てを発動しても構わないんだが、場所を考えるとな……。
恩恵品程度の魔力の動きも察知出来るような面倒な生物もいるかもしれないし、何でもかんでも発動すればいいってわけではなく、しっかり厳選しないといけない。
「……【緋蜂の針】は打撃力って意味でもいざって時の防御力でも必要になるし、尻尾も……小さい状態で巻き付けておけば邪魔にならないよな? 【猿の腕】も魔道具を咄嗟に使う時とかにあると便利だし……」
厳選しないといけないんだが……如何せん俺本体が何かと足りない物が多すぎて、それを補うためには様々な恩恵品が必要になる。
考えれば考えるほど、今身に着けている物の中で発動する必要が無い物なんて、【ダンレムの糸】と【琥珀の剣】くらいじゃないか?
「難しいな……もうこのまま突っ込んでいいか?」
もっとしっかり計画を練れば違う結論に行きつくかもしれないが、そんなことよりもここで時間を使いすぎる方が問題だろうしな。
決して考えるのが面倒になった訳じゃないが、魔物の気配と森の変化に気を付けさえしたら、色々発動した状態でも大丈夫だろう。
各種恩恵品を発動して準備を調えると、俺は魔境の咆哮が聞こえた方に向かって【浮き玉】を突っ込ませた。
◇
魔境の中に入って数十メートルほど進んでみたが、今のところ目立った何かが見つかったりはしていない。
一応枝や草が折れている箇所を辿って行って、魔物たちが潜んでいたであろう場所を見つけはしたんだが、特に何か変わった痕跡があるなんてことはなかった。
「この辺に魔物が集まっていたのは多分間違いないんだけど……折れている枝とか草の位置を考えると、小型の魔物ばかりだよね。向こうで倒したオークすらここにはいなかったってことだよね。……んーと?」
ここにはこれ以上見るものは無いと考えた俺は、ゆっくりと奥に向かって進んで行く。
あの弱々しい咆哮でも、一応【風の衣】を纏った俺の耳にも届いたわけだし、距離は森の縁からそこまで奥ってことはないはずだ。
この辺りを調べたら、何か痕跡くらいは見つけられると思うんだが……と探していると、茂みが一際荒らされている個所を発見した。
「おや?」
地面に近い低い位置だし、小型の魔物が踏み荒らしたと見えなくもないが……。
「それにしては、ちょっと広い範囲が踏み潰されているね?」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




