1534
ワニもどきの上半身にビビりながら、俺はアレクの盾の陰に隠れていると、魔力の調整を終えたジグハルトが一気に魔法を連続して放っていき、離れていた生き残りの魔物たちを一掃した。
何だかんだ……今回の探索で遭遇した魔物の大半はジグハルトが止めを刺していたな。
先に帰還した別動隊を追おうとしていたカエルもどきの群れも、狙ったわけじゃないとはいえ、半分はジグハルトが倒してしまった。
俺は何をしたかな……。
一応北側からこちらに来ようとしていた魔物の群れは仕留めたとはいえ、俺が今日やったことと言えば、上空を飛んで回って、何か見つけたら報告をするってだけだった。
監視と伝令は俺に一番求められている役割だし、それ自体に不満は無いんだが、いまいち今回は役に立てていないというか、仕事が出来ていない気がする。
全部何かの途中であって、締めをしていないからかな?
大ボスであるワニもどきは、俺がアレクに貸した【ダンレムの糸】だし、まぁ……全く働いていないってことはないよな?
「一先ず見える魔物は片付いたな。セラ、どうだ?」
腕を組みながら「ぬぬぬ……」と唸っていると、ジグハルトが辺りの様子を訊ねてきた。
「ほ? あぁ……うん。大丈夫だよ」
ジグハルトは、普段なら魔法を連発する際に魔力を周囲に広げているから、目に入る範囲の索敵も一緒に行えているんだが、ワニもどきの死体を迂闊に刺激しないように、今回は魔力を広げていなかった。
珍しいジグハルトの質問に少々驚きつつも、地上には魔物はいないと伝えると、ジグハルトたち三人は顔を見合わせて頷いた。
そして、地面にかがんでいたオーギュストが立ち上がると、体の具合を確かめるように、捻ったり前後に曲げたりをしだした。
「……穴の上に移動するの?」
魔物がいないのに、体を動かす準備をするってことはそういうことだよな。
ワニもどきの死体はどうするつもりなんだろうか?
ジグハルトは「ああ」と答えたが、俺がワニもどきの死体に視線を向けていることに気付いたようで、さらに続けた。
「俺も見たことが無い魔物だったし、出来れば回収して領都に持ち帰りたかったんだが、アレを人の手で移動させるのはどんな方法を採ろうと危険すぎる。せめて魔法を撃っている間に何か変化があれば、対処法を思いついたかもしれないが……」
今度はジグハルトが死体に視線を向けた。
そして、数秒ほど見つめたかと思うと、溜め息を吐きながら首を大きく横に振った。
「ジグさんが、アレに魔力が届かないように気を付けていたってのもあるかもしれないけど、何も起きなかったもんね」
「まあ、ここで破棄することは想定のうちだが、全く生態が掴めないままってのは予想外だったな。……もういいか?」
「ああ……待たせた。それでは、上に向かおう。アレクシオ隊長。君の盾は大丈夫か?」
「これくらいなら問題無いな。セラ、コレを返しておく」
アレクは【ダンレムの糸】を解除すると、手のひらに乗せてこちらに伸ばした。
「うん。もし荷物が重かったらオレが上まで運ぶから遠慮せず言ってね」
俺は【ダンレムの糸】を受け取って身に着けると、皆を見るが……。
「荷物は無さそうだね?」
俺の言葉に三人は苦笑している。
各々武装はしているものの、荷物は無いし身軽な姿だ。
これから斜面を登っていくわけだし、それ自体は歓迎されるべきことなんだろうが、収穫は別動隊が運んだ物だけになりそうだな。
◇
さて、全員無事に穴から脱すると、縁から少し下がった場所に並んで立った。
先程まで俺たちがいた穴の底は、戦闘中は北と西の水脈に繋がる穴の周りを除けば、ほとんど水気は無くなっていたんだが、いつの間にやら浅く水が張っている。
魔法で水を出していたワニもどきを仕留めたにもかかわらず、この水の増加量か。
俺は穴の中を覗き込みながら口を開いた。
「水が流れ込むペース、最初より増えてない?」
「……ああ。もしかしたら、ヤツが流れ込む量をコントロールしていたのかもな。さっさと上がってきてよかったぜ」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




