1526
「地面に魔力……?」
「そうなると、また来るか?」
「そうでしょうね。次は何が来るか……」
ワニもどきの足元に魔力が広がっているのが見えたってことを伝えると、二人は何やら思い当たる節でもあるらしい。
何度か言葉を交わしたかと思うと、アレクだけワニもどきの方に慎重に歩いて行った。
「……どうしたの?」
しばらくアレクを眺めていたが、何事かとジグハルトに訊ねた。
アレクと違って、ジグハルトの方は変わらず今いる場所からオーギュストとワニもどきの戦いを眺めている。
まぁ……ジグハルトの場合は、いつでもどこからでも魔法を撃てるからあんまり関係はないのかもしれないが、随分余裕そうだ。
「アイツがまた周囲の魔物を呼び寄せようとしているな。お前が迎撃に出た時も、魔力を使っていただろう?」
「魔力……あぁ……あの足元に水を大量に生み出していたやつだね。そういえば今はあんまり出してないね。アレって魔物を呼び寄せるのをオレたちから隠すためだったの!?」
それは大分賢いんじゃないか……と驚いていると、ジグハルトは「さあな」と肩を竦めた。
「自分の足元に大量に水を出すと乾いた皮膚がまた濡れるだろう? 今のままの方が戦闘は有利に進められると考えたのかもしれないな。どっちにせよ、頭が回るってことは確かだろうがな」
「今の立ち回りとかもそうだもんねぇ……」
オーギュストは頭部の前に立ち続けるって条件はあるものの、それでも彼が東側に追いやろうとし続けているが、上手く躱され続けているし、何となくこちらの狙いがわかっているようだ。
今は群れを作っているわけじゃないようだけど、魔力を使って魔物を動かしたりだとか、デカい群れを率いることが出来る能力がしっかりあるな。
もしここで逃がしてしまったら、後々面倒なことになりそうだし、やはりここでしっかり倒しておかないと。
「よし……それじゃー、オレは上に出て向かってくる魔物を倒しとくよ」
ワニもどきが相手だと俺の出番は無さそうだし、さっきの北の群れと同じように、こっちに到着する前に上で片付けておいた方がいいだろう。
俺は再度穴の上に飛び立とうとしたんだが、視線を上に向けたところで「待て」とジグハルトに止められた。
「む?」
「今回はお前は、上からどの方角でどのタイミングで降下してくるかを伝えてくれたらそれでいい。倒す必要は無い」
「むむ??」
さっきオレが倒した群れは二十体ほどいたし、この穴の中で戦闘になったら混戦になることは必至だし、強さは大したことはなくても戦いづらくなってしまうだろう。
俺はジグハルトに「いいの?」と訊ねると、彼は「ああ」と返してきた。
「上から下りてくるタイミングで、アレクが間にアレを挟んで矢を放つ」
ジグハルトはそう言うと、ワニもどきを指した。
「アレを挟んで……魔物を緩衝材にするのかな?」
「ああ。お前が戻ってくる前は、タイミングを合わせて俺が横から壁を出そうと話していたんだが、魔物が寄ってくるのならそいつらを壁にした方が都合がいい」
「なるほど……了解!」
ただの土壁よりも、魔力を持っている魔物の方が矢の威力を削れるもんな。
んで、ジグハルトは矢の威力が死んでいなかった場合の保険かな?
ともかく、俺はジグハルトの指示に頷くと、穴の上へと飛んで行った。
他の隊員たちと別れて大分時間は経ったし、そろそろ彼らも拠点に到着している頃だろう。
この森の中にいる人間は俺たちくらいだろうし、どれくらい魔物が集まってくるかだよな。
アンデッドは流石にもう打ち止めだと思いたいが、その場合だと川の向こう岸からも戻ってきかねないし……油断は出来ないな。
俺は森の上空に出ると、気合いを入れて周囲の様子を探りだした。
「遠くに見えるけど……まだ集まってはきていないね。魔力がジワジワ染み出るように広がっているのは、地面に溜まってる水を利用しているからかな?」
流石にすぐにはやって来ないか。
集中を切らして見逃したりしないように気を付けないとな!
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




