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大量のネズミがアンデッドになったのは、先日の件と関係しているからだろう。
何かしら外的要因が無いと、一度にこんな大量のアンデッドなんて生まれないもんな……と頷いていると、「それだけじゃない」とアレクが言った。
「これだけまとまった数のネズミが、食われもせずにただ死ぬのは異常だろう?」
アレクは足元の茂みを薙ぎ払いながらそう答える。
「……おぉっ!? そう言えばそうだね」
当たり前ではあるが、アレって全部死んでるんだよな。
直接自分が戦ったわけじゃ無いし、何より普通に動いていたからなんかもうそんな存在と認識していたが、アレは元は生きていたんだ。
んで、アレだけのまとまった数のネズミが同じタイミングで死ぬか。
「……病気とか? それとも、毒とか?」
俺の言葉に、今度はジグハルトが笑いながら答えた。
「どちらも無い……とは断言出来ないが、今回は違うだろうな」
「ほぅ……?」
「ネズミに感染する病気はあるかもしれないが、一ヵ所にでも集まっていない限り、あの数が短期間で感染することはない。毒もそうだな」
「む……それは確かに」
あのネズミたちがどれだけの数がいたのかはわからないが、100や200ってことはないだろう。
北の森は相当広いし、もっとたくさんのネズミが生息していてもおかしくはないが、あくまでそれは森全体の話で、少なくともこの一帯にはそれだけの数は生息していなかったはずだ。
その考えを伝えると、ジグハルトは「ああ」と頷いた。
「一ヵ所に引き寄せられて、そこで纏めて仕留められたってところだな。大して知恵の回らないただのネズミなら、弱い動物寄せの薬を使えば済むし、魔物を対象にするよりずっと簡単だろう」
「……人の手が入ってるってことなんだね?」
まぁ、アンデッド化云々はともかく、ネズミの死因までは人の手が入っているか。
偶然起きるようなことではないと思ってはいたが……どうやったんだろうな?
「三人が真っ直ぐ向かってるのは、何か思い当たる節でもあるの?」
拠点に帰還する隊員たちと俺たちとで二手に分かれた後は、相談するようなこともなくすぐに出発したし、出発以降、足を止めたり大きく進路を変えるようなこともない。
「心当たり……と言うよりは、地形を読んでいるだけだ」
俺は「地形?」と訊ね返そうとしたが、その前にこれまで黙って前を走っていたオーギュストが、足を止めたかと思うと「来てくれ!」と声を上げた。
◇
「どちらに行く?」
オーギュストはそう言って前方を指した。
前方どころか、四方全部相変わらずの森だが……何か変わったところでもあるんだろうか?
強いて言うなら、左右に分かれるように木が生えているってことくらいだが、別に崖になっているわけでもないし、そのまま真ん中を走ればいいだろうに……。
「何か違うの?」
わざわざ足を止めてまで迷うようなことじゃないよな。
「浮いているお前じゃ気付けないか。勾配は緩いが、俺たちはずっと下りを走っていたんだ」
アレクが俺の言葉に振り返り、地面をトントンと蹴った。
「下り……?」
アレクが言うように全く気付かなかったが、改めてよく周りを見てみると、地面に溜まった雨水が流れていっているのがわかった。
オーギュストはコレを辿っていたんだろうな。
んで、この先で左右に分かれていて、同じ場所には辿り着かないってことか。
アレクとジグハルトは、ジッと地面を眺めていたかと思うと、すぐに口を開いた。
「どちらでもいいだろう。行って外れなら反対に移る。それでいい」
「そうですね。足を止めている時間が勿体ない。……川に近い左にしましょう」
二人がそう言うと、オーギュストも「わかった」と頷き、分かれ道を左に走り出した。
そして、その後を追う俺たち。
しかし、川に近い方を優先か。
……ネズミたちをどうやって体を残したまま一纏めに死なせたのかは、なんとなく予想出来るな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




