13
いつの間にか手のひらにあった10枚の聖貨が消え、代わりなのかエレナが淡く光っている。
それほど強くないが、結構目立つな。
最初の孤児院の時よくバレなかったもんだ。
数秒その状態が続いたと思ったら徐々に光が弱まり、そして、手のひらの上に何かが浮いている。
縦60センチ横30センチくらいで結構デカい。
何だろうか?そう思い見ていると光が消え、それが何かがはっきり見えた。
何だこれ…?
赤い板?
そんなことを考えていると、エレナがまだ浮いているそれをヒョイと持ちそして床に置いた。
…あぁ、浮いてる状態でなら重さは無いんだね。
【浮き玉】と【魔鋼】の時は落ちるまで眺めていたからわからなかった。
なるほどなー…
光が完全に消えたそれをエレナが改めて持ち上げる。
「盾…かしら?まぁ、当たりね」
「【赤の盾】と言うそうです。私向きではありませんが、悪くありませんね」
エレナは笑みを浮かべ、セリアーナも嬉しそうだ。
エレナは盾を使うんだろうか?
わ…わからん。
「幸先がいいわね。アレク、次は貴方よ」
ポカンとする俺を他所に次はアレクが先程のエレナと同じように、女神像に向かい跪き、聖貨を掲げている。
ごつい兄さんがそのポーズをしているとちょっとシュールで面白い。
こっから光るのか…笑わないようにしないとな。
が、光りはしたのだが一瞬だった。
そして現れたものは小さい。
丁度俺の拳くらいの大きさの物が浮いている。
「【魔晶】か…錬金素材。外れです」
それを宙に浮いたままの状態で片手で掴み、少し落胆した様子でそう言った。
【魔晶】…【魔鋼】の仲間かな?
錬金素材って言ってたし、【魔鋼】もやっぱり素材なんだろうか?
そして外れなのか…。
「そう。まぁいいわ。次は私ね」
そう言うなり、今度はセリアーナが女神像の前へ出た。
この偉そうな彼女もあのポーズするんだろうか?
似合わないなー、と考えていたのだが…、スッと立ったまま片手で女神像の前に差し出すだけだった。
他人のことは言えないけれど、敬意は感じないな。
さて、そんな雑な祈りでも女神様はしっかり応えてくれるようで、セリアーナは光を放っている。
アレクとは違い、エレナよりの光り方に近いが、物によって違うんだろうか?
程なくして光は落ち着き、現れたものが見えてきた。
40センチくらいの緑色の円錐状の何かだ。
…なんだあれ?杭?
「【緑の牙】ね。武器の様だけれど…何かしらね?」
あ、本人もわかってねーわ。
これで3回終えたけれど、わからんことだらけだ。
自分がやった時はもちろん、他人がやっているのを見てもわからない。
不思議だなー。
たった一言で締めていいのかはわからないが、俺の感想はこれだ。
◇
ガチャを終えた後、皆でセリアーナの部屋に集まった。
ガチャのアイテムは目の前の机に置かれている。
てっきり訓練場で使い方を確かめたり、練習したりするのかと思ったけれど違うのか。
「【緑の牙】。エレナ、これは貴方が使いなさい。代わりにその盾はアレクへ。【魔晶】は私がもらうわ」
セリアーナはそう言うと【緑の牙】と【赤の盾】に手を置いた。
何かしたのか、一瞬2つのアイテムが光ったと思ったら、形が変わっていた。
【緑の牙】は刃が緑の20センチほどの小振りで綺麗なナイフに。
【赤の盾】はサイズは変わらないが、赤い板からマンガやゲームに出てくる様な如何にもな真っ赤でカッコイイ盾になっていた。
「ぉぉ~…」
俺の右手の指にはまっている【影の剣】でも驚いたけれど、やはりこのファンタジーな感じはたまらん。
本当にどんな仕組みなんだろうか?