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アレクと合流してから数分。
オーギュストやジグハルトたちは、まだ追いついていない。
距離を考えたらそろそろ着いていてもおかしくないんだが、まぁ……足場が悪い中武装までしているんだし仕方がないか。
ってことで、引き続きヘビとは俺とアレクで相手をしているんだが、何度かヘビの攻撃をアレクが弾いているうちに、一つ変化に気付いた。
「なんか尻尾の方からしぼんできてるね」
しぼんだと言うよりは、しなびたの方が正しいかな?
それにつれて、勢いも衰えてきている気がするが、アレクはどう見ているかな?
「見ろ。お前が切断した痕から中身が漏れ出ている。アンデッドだし、骨だけになっても動くだろうが……今は半端に肉体が残っているから、動きが鈍くなっているんだろう。これならもう数発も蹴ってみたら、お前でも仕留められるんじゃないか?」
アレクは盾越しにヘビの後部を指して、「やるか?」と訊ねてきた。
だが。
「やめとく」
倒せはするかもしれないが、ドロドロの中身が飛び散ってしまうかもしれない。
【風の衣】がある以上俺の体に付くようなことはないだろうが、そんな物間近で見たくもないし、俺は即座に断った。
アレクもその答えを予想していたのか、「だろうな」と笑っている。
「まあ……それならコイツはジグさんが来るまで適当に相手しておくか。お前はこのまま周囲の警戒を頼む」
「ほいほい。……と言っても、アンデッド相手じゃ自信は無いなー」
「目に見えるだけでいい。おっと……ふっ!」
話がヘビの攻撃で中断されてしまうが、その攻撃をアレクは盾で簡単に弾いている。
小振りとはいえそれでもデカいことに変わりはないし、そんなのが頭を振り回してぶつけてきているのに、【祈り】無しなのに随分余裕みたいだ。
大分弱ってるなぁ……。
俺は周囲の警戒をしながら、アレクがヘビの攻撃を盾で弾く音を聞いていた。
特に何も怪しい魔物は……おや?
「……お。アレク、来たよ!」
まだこの場には到着していないが、こちらに近づいてくるオーギュストたちの気配に気付いた俺は、アレクにそれを伝える。
「むっ? ……よし! ジグさんに止めを任せると伝えてきてくれ!」
アレクはヘビの攻撃を先程よりも大きく弾くと、一度後ろに飛び下がってヘビから距離をとった。
そして、アレクは一緒に後退した俺を見ると、ジグハルトへの伝言を渡してきた。
「了解!」
とりあえずこのヘビにアレクがやられることが無いのはわかったし、後は倒すだけだ。
そのためにも、ジグハルトのもとに急ごう。
俺はアレクに返事をすると、その場を飛び立った。
◇
もうすぐ側まで来ていたオーギュストやジグハルトたちと合流をすると、ジグハルトに先程のアレクの言葉を伝えた。
「……攻撃を弾くと大きく下がる。それでいいんだな?」
「うん。アレクも大分余裕があったし、失敗するようなことはないと思うよ。でも、急いでね?」
ジグハルトは確認をしてくるが、俺は問題無いと答える。
強いて懸念を挙げるとすると……臭いか?
中身が出ちゃってる上に、俺がいなくなっているからな。
時間をかけるとその分アレクが消耗してしまうし、さっさとジグハルトには片を付けてもらいたい。
「わかっている……。オーギュスト、俺はセラと先行する。お前たちは周囲を警戒しながら来い。行くぞ」
「りょーかい! この辺に魔物の姿はないけど、アンデッドまではわからないから、気を付けてね!」
それだけ言うと、俺たちはアレクが戦っている場所に向かって移動を開始した。
◇
さて、広場に出た俺たちはまずは戦況の確認をする。
アレクは順調にヘビの攻撃を捌いているし、戦闘自体は余裕なのは変わらないんだが……口と鼻を覆うように布を巻いている。
先程まではそんな物は身に着けていなかったんだが……やっぱり臭いはきついのかな?
「なるほど。決め手が無いわけだな。……アレク! 次で仕留める! 上手く合わせろ!!」
ジグハルトも急いだ方がいいと思ったんだろう。
デカい声でそう叫ぶと、アレクの返事を待たずに魔力を溜め始めた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




