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モクモクと立ち上る狼煙を見て、「ふむ」と頷いた。
ただの狼煙に過ぎないし、これなら森に影響は出ない。
色がついているわけじゃない上に、この雨空の下だとちょっとわかりにくいかもしれないが、もう一つの方の狼煙が使用される可能性については、三人や率いる隊の隊員たちも頭にあるだろう。
狼煙が上がっていることに気付けば、俺が呼びに行かなくてもこちらに来るはずだ。
本命の魔物を発見したわけじゃないが、コレを見てもらって、ついでにアンデッドに出くわしたことも伝えて、この後の行動の指針にしてもらいたい。
正直なところ、川を遡っていけば何かが見つかるんじゃないかなー……と、考えていたのは甘かった気がしてきている。
一度集まっておいた方がいいだろう。
「それじゃー……皆が来るまでの間、オレはこの辺をもう少しうろついてみようかな」
皆がいる南側は問題無いとして、北側や東側はまだ調べ切れていないし、とりあえず魔物が寄ってこないかどうかだけでも見ておかないとな。
俺はヘビたち三体とも服の下から出すと、周囲の警戒を任せながら森の上空に上がっていった。
◇
三部隊に分かれた調査隊は、川からやや東岸の内側に入った箇所を中心に、魔物の痕跡や異常を探していた。
だが、中々コレといった発見は出来ずにただ時間が過ぎていた。
そんな中、一番北側を任されているオーギュストの隊の隊員の一人が、木の間から見える光景に、慌てて周りの隊員たちを呼び止めた。
「……っ!? おい、あれを!」
「どうした? ……っ狼煙か!?」
初めに異常に気付いた隊員が指さす先を見て、彼が何を発見したのかを理解した。
「北方向だとセラ副長だな。俺は団長に伝えてくる。他への報告は任せた!」
最初に気付いた兵は、そう言うとその場を周りの兵たちに任せて、オーギュストがいる場所に走った。
オーギュストがいる場所は、仮にこの隊のどこで戦闘が起きたとしても、すぐに駆け付けられる隊の中心で、雨避けに木の下に入っている。
そのため、オーギュストと護衛の兵二人の誰も、先程の狼煙には気付いていないようだ。
「団長! 北のセラ副長から狼煙が上がりました!」
その報告に、護衛の一人がすぐに反応する。
「来たかっ! セラ副長は?」
「いえ、まだ狼煙だけです。他の者たちも集めさせていますが……すぐに向かいますか?」
集まる視線にオーギュストは首を横に振った。
「いや、まずは他の隊との合流を待つ。そちらにも伝令を出せ」
その言葉に、護衛の二人も「我々も」と言ってその場を離れていく。
「セラ殿が遭遇したのか? その割には随分と静かなままだが……」
一人残ったオーギュストは、しばし目を閉じて周囲の様子を探っていたが、異変は何も見つけられなかったようで、先程の兵が向かってきた方へと歩いて行った。
◇
三隊が合流すると、すぐに狼煙が上がった場所に向かって出発した。
位置的に川の側であることはわかっていたが、危険を避けるために森の中を進んでいた。
人数に任せて、警戒よりも速さを優先していたんだが……先頭が徐々に速度を落としていったかと思うと、ついには完全に足を止めてしまった。
そして、隊員たちは鼻と口を手で覆い、青い顔をしてぼやいている。
「……おい、この先か?」
「ひどいな。まだ解体所の方がマシじゃないか?」
「群れを一つや二つ潰したところで、ここまで酷くはないぜ……。隊長さんよ……どうするんだ? ここを抜けるだけならまだしも、ど真ん中で戦うようなことになったら、鼻が原因でしくじりかねないぞ?」
2番隊の兵の言葉に、彼等と同様に口元を手で覆っているアレクは頷くと、「一度下がるぞ!」と指示を出した。
周りの隊員たちは口々に「助かった」や「ありがたい」と言いながら、やって来た時よりも速く下がって行く。
その様子に、アレクたち三人は蒼い顔をしながらも笑っている。
「仕方がない。コレは流石にどうにもならん。別の道を探すか?」
「いや、戦闘の気配は無いし、セラを俺たちの下に呼んだ方が早いだろう」
ジグハルトはそう言うと、走りながら魔法を上空に向けて放った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




