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エレナが風呂に入っている間、俺は今日のセリアーナへの来客が無かった理由から始まり、今の領地の女性の派閥や勢力図的な話を、セリアーナから聞いていた。
何でも今のリアーナでは、貴族と商業ギルドに加盟している有力商店主の奥さん方は、ほぼほぼ互角らしい。
それぞれ活動エリアが違うためぶつかるようなことはないんだが、この領都だけじゃなくて、領地全体への影響力でそうなっているんだとか。
王都やリアーナよりも歴史があるような領地では、もう領内も落ち着いているし、明確に貴族と平民とで身分の上下が出来ているし、それほど生活圏が重なることはないんだが、ウチはまだまだだからな。
一応表立っての身分では貴族の方が上なんだが、領内で食料や薬品などの調達と運搬を担っている商業ギルドの存在は大きいらしい。
直接住民の生活に関わるだけに影響力は相当で、貴族もそれなりに気を遣っているようだ。
……エレナが今日忙しかったのは、その辺も関係しているのかもな。
そして、序列という意味では1位は当然セリアーナだ。
領主夫人という立場に加えて、2位の俺とエレナとフィオーラとテレサといった、領内の女性のトップ連中がゴッソリ纏まっているわけだし、それぞれリアーナ以外にも伝手があるからな。
身分はもちろん、自分たちでその気になれば外からいくらでも物を調達する術を持っている。
貴族と商人たちのどちらも、優位に立てる場は無いだろう。
んで、そのセリアーナが側に置くのは俺たちだけに止めているから、リアーナの女性間の争いってのは、基本的に起きていないそうだ。
ちなみに、領内での勢力や影響力という面では冒険者ギルドも無視出来ないんだが、如何せん彼等は彼等で内に籠り過ぎている。
例えば戦士団だったり、今回の調査隊に参加している冒険者みたいに色々考えている者もいるんだが、どうしても騎士団の傘下って立ち位置のままだ。
商業ギルドや騎士団はリーゼルの、冒険者ギルドはセリアーナの派閥内だし、どうなったところで結局は領主側の管轄内だから、そのままでいてくれたら楽だよな。
まぁ……未婚の冒険者が多いだけって可能性もあるが、そこは自分たちで頑張ってもらおう。
◇
さて。
ひとしきり話をしたはいいが、エレナはまだ風呂から出てくる様子はない。
一度すっかり体を起こしたわけだし、もう一度寝転がるのもなんだからってことで、俺は部屋からマットを持って来てストレッチを行っていた。
ここ最近は忙しかったし、怪我の件もあって、毎日のストレッチこそ継続してはいたが、十分に出来ていたとは言えなかった。
いい機会だし、ここでしっかりと体を解しておくつもりだ。
「足の痛みは?」
足を伸ばしたまま体を倒す俺を見て、セリアーナが足の具合を訊ねてきた。
セリアーナは格好が格好だし、部屋には使用人もいるから参加はせずに、このまま見学を続けるつもりらしい。
手伝ってくれてもいいんだけどな……と考えながら、俺は顔だけセリアーナに向けた。
「大きく動かしたり力を入れるとまだ少し痛いかな? でも、確実に良くなってはきてるよね。もう少し時間がかかるかなって思ってたけど、これならもうすぐ完治するんじゃないかな?」
歩くことすらほとんどせずに、ひたすら右足への負担を無くしていることと若さの力だろうか……と考えているんだが、セリアーナは胡乱げな目で俺の足を見ている。
「順調なのはいいことだけれど……早く治るのはどうかと思うわね」
「む?」
「お前一度加護を使ったでしょう? その影響もあるんじゃないかしら?」
「む……まぁ、それは確かに。でも、アレって割と短時間だと思うんだよね。そこまで影響は無いと思うけど……」
北の森の戦闘で何度か使ったが、流石にアレだけで一気に完治を早めるってことはないはずだ。
「まあ、考えすぎかもしれないわね。でも、恩恵品は左足に着けているから、右足に負担がかかることはないでしょうけれど、気を付けるのよ?」
明日のことを言ってるのかな?
もちろん言われるまでもないことだが……それでも頭に止めておこう。
俺は「りょーかい」と返事をした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




