1449
「……新しい隊。3番隊の新設というわけじゃなくて、今回の君が率いているような隊を組むことを恒常化したいってことかな?」
俺の話を聞いたリーゼルは、他の者たちを視線で抑えると、考えを纏めるように一度目を閉じてから口を開いた。
ちょっと言葉が足りなかったかなと思ったが、オーギュストを通さなくても上手く伝わっているようで何よりだ。
俺は「うんうん」と頷きながら、リーゼルに向かって続きを話すことにした。
「この時期って、1番隊と2番隊と冒険者と……皆外での活動は基本的に無くなるでしょう? だから、何かあった時に準備を一からしないといけないんだよね」
「そうだね。雨季という環境を考えたら、どうしてもそうせざるを得なくなる」
「オレもそれ自体は全然構わないと思うんだけど、多分結構この時期って外で色々起きてそうなんだよね。今回色々見つけたのは偶然が重なっただけだけど、意外と森は静かだったし……」
俺の言葉に、黙って話を聞いていたオーギュストが口を開く。
「カエルもどきにオーガの群れ。街道脇の魔物に、森の浅瀬で複数種の魔物が罠を張る……十分過ぎると思うが、君は違うと言うのか?」
「そう纏めて挙げられたらなんかオレの勘違いな気がしてくるけど……でも、今年だけの突発的な事件とかが原因だったら、もっと変な動きをすると思うんだよね……」
どの魔物も何だかんだで面倒な相手だったけれど、よくよく思い返せば、どれも少なくともパニックになってはいなかったんだよな。
北の森の魔物はちょっと気になるが、それでも、この時期の外の状況はあんなのが日常茶飯事の可能性もある。
「まだこちらで本格的に開拓を開始して数年……。それより以前は今のリアーナ領の大半はミュラー家の管轄だったが、満足に管理出来ていたとは言えないし、正確な情報が集まっていない可能性もあるか……」
オーギュストの言葉に皆が頷く。
「今後開拓を進めていくことで、森の奥まで入っていくだろうし、今から手を打っておかないと取り返しのつかないことになる。そう言いたいんだね?」
「そうそう」
「ふむ……人員に関しては、騎士団の団員の募集は毎年行っているが、実力や適性を無視することも出来ないし、すぐに増やす事は出来ないね。そうなると、今回のように冒険者にも参加してもらう必要が出てくるか……」
このリーゼルの反応……どうやら前向きに考えてもらえそうかな?
手応えを感じて、リーゼルの次の言葉を待っていたんだが。
「セラ、お前はその隊をどう動かすことを考えているんだ?」
リーゼルより先に、アレクがそう訊ねてきた。
隊の運用の仕方か。
一応考えてはいる。
「北の拠点の何ヵ所かに、10人くらいの隊を滞在させるといいんじゃないかな? 結構どこの拠点も寝床には困らなそうなんだけど、あまり人が多すぎても食料とか消耗品が足りなくなりそうだしね」
あまり大勢を滞在させると消耗品の問題が出てくる。
すぐ側に狩場があるし、いざとなれば狩りに出ることで補充も出来るが、今回のように森の調査が目的でもない限りは、森をつつくのは止めておいた方がいいだろう。
10人程度なら派遣の際に一緒に持たせておいたら、拠点の備蓄と合わせて十分足りるはずだ。
そう伝えると、アレクは何度か頷いた。
「なるほど……分散させても、定期的にお前が拠点間を移動することで情報の共有は出来るし、隊としての形は維持出来るか」
「うん?」
アレクの言葉に小さく声を上げるが、聞こえなかったのか、オーギュストが話を始める。
「そうだな。近い距離の拠点同士に置くことになるだろうが、それでも細かい情報の共有は必要になるだろう。セラ副長が隊長役を務めるのなら成立するな」
「待って?」
待ったをかけるが、またもスルーされてしまう。
今度は先程まで黙っていたリーゼルが続く。
「冒険者ギルドとの連携は必要だが、十分可能なようだね。オーギュスト、急ぐ必要は無いがリストアップを任せるよ」
「はっ」
そして、リックや文官も交えて話を始めてしまった。
……俺の頼み事は聞いてもらえたようではあるんだが、もしかして、コレは俺が隊長になってしまうんだろうか?
話を進める彼等を見て、輪に入れないままそんなことを考えていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




