143
ルバンからの手紙でいろいろ知ってから数日。
あまりやる事は変わっていない。
人を動かしたりできる立場でも無いからな……。
強いて言うなら、ダンジョン探索はもう少し無理をしないようにする位だ。
聞いた感じ、俺は最終防衛ラインみたいな扱いだったし、襲撃がある時に側にいる事が役目なんだと思う。
と、いう訳で折角ダンジョンに来ているが、今日はオーガさんは止めておこう。
浅瀬は新人が狩りをしているが、幸い鍛錬がてら上層で狩りをしていた他所からの冒険者達も、ここ最近移動を始めたようで大分狩場に余裕は出来ている。
俺も上層でオークさんあたりを狙おう。
いやー……残念だなー。
心の中で強がりを言いながら浅瀬を一気に突き抜け、上層へと進んだ。
「ふっ!」
諸々を発動し、準備完了だ!
上層は、現れる魔物は違うが、王都ダンジョンの浅瀬に近く、広い空間が壁で遮られ迷路の様になっている。
更に障害物が散在し見通しが効かず、気づけば複数の群れに囲まれることもあるが、俺には関係ない。
てことで、まずはその大岩の裏にいるコボルトからだ!
◇
上層に初めて踏み入った頃はまだ人が多くあまりこの階層での狩りを出来ず、どれくらいの強さかわからなかったが……余裕じゃないか。
もちろん気を付ける点はある。
数だけなら魔人の時に経験しているが、アレは全部四つ足だった。
一方妖魔種はどれも2足歩行。
やはり腕を使ってくるのは油断が出来ない。
油断はできないんだが……この辺なら余裕だ。
上層の奥に差し掛かり、現れる魔物がオーク中心となってきたが、つい今その群れを片付けた。
4体の群れだったが、数が違うのもあるがオーガに比べると随分温い。
空いている所を探してもう少し倒そうかな?
そう考えていたところ、微かに悲鳴が耳に届いた。
魔物の咆哮が反響しそんなふうに聞こえた可能性もあるが……。
音源がどこかわからず辺りを見回すが、数か所離れた位置に魔物がいるが見える範囲ではその様な……。
「あ」
今視界の端の更に端で、誰かがグチャっといったのが見えてしまった……。
あまり強くなさそうな冒険者が2人とサイズ的にオークが数体いるのがわかる。
これは……行った方が良さそうだね。
◇
「もうすぐだよ!」
振り向き、すぐ後ろを走るパーティーに伝える。
「おう!」
救援に向かう途中に、狩りをしていた5人パーティーを見つけたので声をかけ先導をしている。
ダンジョンでの探索は、死者は出さないにこした事は無いが、それでも出る時は出る。
魔人の誕生や維持費の増加を避けるために、死体回収部隊を組んで回収に向かうが、可能な場合はその場で死体の回収をしなければならない。
それは最優先事項だ。
オークやコボルトなら倒すだけなら俺だけで十分だが、如何せん死体を運ぶ事は俺には出来ない。
狩り中申し訳ないが、付き合ってもらっている。
「ぬっ⁉」
何かを打ち付けるような鈍い音がした。
戦闘音だ。
「聞こえたな?」
俺だけじゃ無いようだ。
壁越しにだがすぐ近くまで来ているのもわかる。
「先行くね」
返事を待たず一気に加速した。
後ろと距離が開くが、ここまで来たら俺抜きでも辿り着けるだろう。
壁を1枚2枚と越えて行き、ようやく直に姿を捉えられるようになった。
5体のオークに壁際に追い詰められ、まだ息はあるが1人は地面に倒れている。
後1人も無事ではあるが傷を負って、壁にもたれている。
これは無理だろう。
オーク達は目の前の獲物に注意が行き俺の接近にはまだ気づいていない。
声位かけた方がいいかも知れないが、折角の不意打ちのチャンス。
「たっ!」
更に【浮き玉】を加速させ、まずは手前の1体の頭部に蹴りを放った。
「⁉」
体勢を崩したそいつを無視し2体目の首を刎ね、集団の後ろに回り込む。
今回は一人じゃ無いから、核は無視して速さ優先だ。
そして、3体目は1体飛ばして真ん中の個体。
その背に再び蹴りを放った。
頭部を狙うのが一番だが、もう俺の存在に気付いている以上躱される可能性のある小さい的より、大きい方を狙う。
4体目をどうするか一瞬迷ったが、袖からアカメが出ていることに気づき、飛ばした1体に向け腕を伸ばし俺は目の前の体勢を崩している1体の首を刎ねた。
5体目の一番奥にいた個体は完全に俺の方に向き直っていたので、念の為距離を取る。
最初の1体も起き上がりこちらを向いているが、流石に頭を蹴られたのはダメージが大きかったようでまだふらついている。
実質残りは1体。
楽勝だ。
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・31枚
エレナ・【】・【緑の牙】・2枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚