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「せーーーのっ!!」
死体を積んで作った山に目掛けて、俺は【ダンレムの糸】の矢を放った。
矢を放つ方角は、万が一にも街道や人に被害が出ないように森の奥である東側。
そして、一応大丈夫だとは思いたいが、地面を削り過ぎないように角度も気を付けている。
矢の威力に押されて多少軌道が暴れてしまったが、それでもしっかりと死体を消滅させたし……完璧だ!
「……おや? おまけもついたね」
【ダンレムの糸】を解除して一息ついていると、右手が何かを掴んでいることに気付いた。
「……聖貨か。オレの実力だと魔物の強さは関係ないはずだけど、最近ペースがいいね。試料と一緒に【隠れ家】に仕舞っとこうかな」
これから領都に帰るんならこのままでもいいんだが、まだまだ今日はこれからだ。
大丈夫とは思うが、万が一があったら折角採取したのが無駄になってしまうもんな。
俺は周囲の様子を確認すると、地面に触れて【隠れ家】を発動させた。
◇
森からまずは一直線に街道に出た俺は、すぐに北に向かって【浮き玉】を飛ばしていたんだが、10分も経たずに異変を発見してしまった。
「……あれは、道が陥没してるのかな?」
俺は急いでその場に向かってみると、街道はもちろんその両脇の地面もボコッと地面が沈んで、広範囲に穴が空いているのがわかった。
深さは精々2メートルってところだし、越えること自体は不可能ではないが、馬車だと街道を大きく外れないと無理だろうな。
ここで足止めを食らっていないってことは、きっと皆は街道を外れて回り道をしたんだろう。
……馬車じゃなくて本当に良かったな。
「……っと、それよりも、皆はどこに行ったのかな?」
突如街道に現れた惨状に驚いて呆然としてしまっていたが、ハタと我に返った。
「森に入って1時間も経っていないだろうし、そこまで離されてはいないはずだけど……とりあえず下の様子を見てみるかね……」
俺は陥没している場所へと下りることにした。
上空から見る限りじゃ、変わった物は見当たらないが、近くに行ってみたら何か見つかるかもしれないしな。
「特に変わった物は見当たらないね。……自然に起きたものだよね?」
戦闘が起きた様子もなければ、魔物の気配も感じられないし、自然に起きたものだろう。
それならそれで何で急に街道が陥没したのかって疑問も出て来るが……。
俺は慎重に近づいて行くが、穴の真上にまで行ったところで何が起きたのか大体のことがわかり、「あぁ」と声が漏れた。
「水が流れているのか」
陥没箇所の一部に、さらに地下に繋がる穴を見つけたが、そこから微かに水が流れる音がする。
勢いは大したことはないが、何やら音が反響しているし、結構な広さの地下水路なんだろう。
「さっき森で見つけた水路と繋がってたりするのかな? 位置的にも十分あり得そうだよね。……もしかして、コレって散々水場に矢を撃ち込んできたし、それが原因なんてことは……」
怖い可能性が頭をよぎり、固まってしまった。
「…………いや、偶然だよね。きっと。うん。よし……それよりも、皆はどこに行ったのかだよね。適当に上から探してもいいけど……」
頭を切り替えようと、俺は陥没場所から離れて、穴の周囲に何か残されていないかを調べることにした。
足跡は……そもそも街道から外れられたらわからないか。
他には……。
「おや? コレか?」
穴のすぐ側の街道脇に、不自然に草が刈られている箇所があった。
さらにどこから取って来たのか、木の枝も西側を示す矢印のように置かれている。
「上からだと見つけられなかったけど、森にでも入ったのかな? まぁ、とりあえず向こうにいるみたいだし、そっちに行ってみようかな?」
仮に見つけることが出来なかったとしても、結局目的地は一緒なんだしどこかで出会うだろう。
彼等がこの街道の崩落に巻き込まれたわけじゃないってことが、しっかりわかっただけでも十分な収穫だ。
念のため現場を2周ほどして、何か見落としていないかの確認をしてから、俺は西に向かって飛び立った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




