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「尻尾で釣りをするってのも現実的じゃないし、放置するのがいいのかな?」
折角カエルもどきが潜んでいる場所がわかったのに、手出し出来ないのは歯がゆい思いではあるが、【妖精の瞳】もヘビたちの目も、地中の様子まではわからない。
もちろんこの穴だってそうだ。
しかも穴の中は水がいっぱいなのも影響しているのか、どうにもアカメたちも反応が鈍い。
「……矢をぶっ放すってのもね。この穴が地中でどんな風になっているのかわからないしね」
俺は水が湧いている穴を睨みながら溜め息を吐いた。
【ダンレムの矢】をこの穴目がけてぶっ放せば、確かにカエルもどきは倒せるかもしれないが、地中の様子がわからない以上、どんな影響が出るのか……。
流石に地盤沈下なんかは起きないだろうが、止めておいた方がいいよな?
岩や木でこの穴を塞ぐくらいなら問題は無いだろうが、その代わりカエルもどきがどこに逃げ出すかもわからない。
カエルもどきがこの穴を巣に利用しているのを知っているのは、森の活動でのアドバンテージになるかもしれないしな。
「……よし! 土と水だけ採取して、見逃してあげようかね」
もう一度溜め息を吐くと、【猿の腕】を発動して、ポーチから取り出した採取瓶を掴み、穴から射線を通さないように気を付けながら、土と水の採取を開始した。
完璧とは言わないが、今日の一の森での目的は十分果たせたはずだ。
相変わらずオーガの叫び声は続いているし、さっさと森を離れよう。
◇
採取を終えた俺は、森の中を街道に向かって飛んでいた。
先程の湧き水の場所は大体覚えたし、地図にもちゃんと記している。
領都に戻って騎士団の方に渡しておけば、ジグハルトたちにも情報は共有してくれるだろう。
追加メンバーたちと一緒に北の拠点に着いたら、今日はもう領都に戻っちゃってもいいかもしれない。
追加メンバーも、流石に到着してそのまますぐに森に出るようなことはないだろうし、先輩メンバーたちと親交を深める時間にでもしてもらえばいいかな。
「さて……それよりも、森に入ってどれくらい経ったかな? 30分くらいは経ってるよね? ちょっと時間をかけ過ぎちゃったかもしれないね……」
地上付近を高速で移動するのは木が邪魔になるし、何より危険だ。
かと言って、あまり高度を取り過ぎるのも雷が怖いしってことで、丁度木の枝辺りの高度を選んでいるんだが、これはこれで枝が邪魔になるし、魔物が潜んでいるかもしれないから、地上近くほどではないがそこまで速度は出せないんだよな。
だが、森に入ってから慎重に行動しすぎたかもしれない。
森に入ってからの捜索に、オーガを発見してからはその追跡。
さらに、戦闘を行った後は水源の捜索。
そんなこんなで今だ。
「カエルもどきが謎過ぎて、ちょっと慎重になり過ぎてたかもしれないよね」
中々森の捜索に明確なクリア条件ってのが無いし、カエルもどきを始め、何かと考えなければいけないことが目の前に現れるから、ついつい時間をかけ過ぎてしまった。
「森の上空に出てしまえば、その気になればすぐに街道に出れるし、もうそれで……あ」
上空から一気に外に出よう……等と考えながら、ふと周囲に視線を飛ばしていると、左手の方角にいる1体のデカいオーガと目がバチッと合ってしまった。
互いに目が合った状況で、俺は一言呟くだけだったんだが、そのオーガは違った。
一度デカい声で叫んだかと思うと、すぐに足元に転がっている石を掴んで、こちらに向かってぶん投げてきた。
速度も威力も申し分ないが、距離は数十メートルは離れているし、風に掠らせることもなく躱してみせた。
「おっとっと……!? この距離だと流石に無理だよ!」
聞こえるかはわからないが、回避を決めた俺はオーガに向かってそう言い放った。
距離は十分で、尚且つ動きもしっかりと見えている。
これなら何度繰り返そうが、回避し続けることは可能だし、無視しても余裕で凌げるだろう。
……だが。
「くっ!?」
例のデカい叫び声を上げたかと思うと、そのオーガの奥からさらに複数の石が飛んできた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




