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「……そんなことを言っていたの?」
「うん。ジグさんは仕方がないとして、ウチの冒険者も大分頭おかしいよね」
呆れたような声のセリアーナに、俺は東の開拓拠点でのやり取りを思い出しながら、何度も頷いた。
セリアーナの「どうなの?」と言わんばかりの視線は、頷く俺の頭の上を通過して、後ろにいるエレナに向けられた。
「確かに平時から魔境で狩りをしているような腕の者たちなら、向こうの拠点周辺での活動は苦戦するようなことはないでしょう。ましてや、ジグハルト殿や2番隊の兵が支援に付くわけですしね。少々言葉は悪いですが……セラが言ったように、危険が無い状況というのは物足りないと感じるのかもしれません」
「そう……困ったものね」
エレナの中々的確な冒険者たちの分析に、さらに呆れたような口調で答えるセリアーナ。
エレナは多少は理解があるようだが……部屋にいるテレサは「理解出来ない」って表情を浮かべていた。
俺の背後にいるため表情は確認できないが、恐らくフィオーラも同じような表情をしていることだろう。
◇
一の森にある開拓拠点から戻ってきた俺は、昨日同様に各所に報告を終えてから屋敷へ向かった。
屋敷に到着すると、まずはリーゼルたちに報告を済ませて、その後にセリアーナの部屋で休憩をとることにした。
風呂の用意が済むのを待つついでに、軽い食事をとって、風呂の用意が出来たらそのまま入浴。
そして、風呂から出た後はフィオーラに髪を乾かして貰いつつ、彼女たちにも今日の出来事の報告をしていた。
んで、開拓拠点での出来事を話していたんだが……改めて思い返すが、やっぱりあの連中はちょっとおかしいと思う。
水溜まりでの戦闘で、カエルもどきを取り逃したかもしれないことに気付いた俺は、基本は防衛ではあるものの、同じ一の森で活動している開拓拠点のジグハルトたちに、情報の伝達と注意喚起をするために彼等のもとへ向かった。
カエルもどきの厄介さはもちろんだが、森に大穴をいくつも空けてしまったってことも伝えておかないといけないもんな。
彼等の活動範囲がどれくらいかはわからないが、宙を浮いている俺と違って、足で移動する以上足場は大事だ。
んで、いざ話をしたんだが……どうにもこうにも。
今の任務が退屈過ぎるから丁度良かった……とか言っていたんだ。
確かにエレナが言うように、普段少数で活動している冒険者たちにとっては、ジグハルトや騎士団のバックアップがある状況で、尚且つ拠点の周囲で……となると、余裕もいいとこだろう。
ただ、それでヌルイって考えには、普通は行きつかないと思う。
そして、カエルもどきや大穴の存在は丁度いい刺激になる……とも。
「この雨の中、わざわざ外での活動は大変だろうし、何か起きてからじゃ大変だと思って、急いで伝えに行ったんだけど……ビックリだよ」
「まあ、昔からこの地で冒険者としてある程度以上の経験が有って、それでも騎士団に入っていない者たちですもの。冒険者としての実力云々よりも、活動そのものが目的みたいになっているんじゃない? ジグハルトと同じようなものでしょう」
俺の言葉に、笑いながらセリアーナが答えた。
そう言われてしまったら何も言えなくなる。
調査隊のメンバーも、お目付け役兼サポート役として冒険者たちに同行してもらっているわけだし、実力だけで言えばまだまだ冒険者の方が上だ。
ついつい調査隊と同じ基準で考えてしまったが、気を回し過ぎたかもしれない。
俺が今日の行動について、アレコレ考えながら「ぬぬぬ……」と唸っていると、髪を乾かしてくれていたフィオーラが「終わりよ」と言って、肩を叩いた。
俺は「ありがと」と一言告げると、ベッドに飛び込んで横になった。
「まぁ……誰かに迷惑をかけるようなことは無かったし、別にいいか」
「そうね。ただ、近いうちにもう一部隊送るくらいはしておいた方がいいかもしれないわね。どう? テレサ」
「ええ。北の森も、以前調査した時から状況が変わっているようですからね。姫抜きでも魔物の対処が出来るようにはしておきたいですし……明日にでも掛け合ってみましょう」
探索と戦闘と、死体の処理と……全部に対処するには人手がまだまだ足りないし、新たに人を送るのは決定になりそうだな。
テレサ主導で決めるとなると……冒険者かな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




