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まずは最後尾の1頭の首を狙った急降下の一撃で切断して仕留めると、続いてもう1頭を左足で蹴り飛ばした。
さらに、その前のもう1頭に刃を突き立てた。
だが、少々攻撃を急ぎ過ぎたようで、心臓を狙ったその一撃はズレてしまっていたようだ。
加えて、突っ込み方が浅かったようで、そのまま横薙ぎに切断する前に抜けられた。
「外れたか……っ! ソイツをお願い!」
仕留められはしなかったが、ダメージ自体は深いはずだ。
俺は兵の返事を待たずに、横に広がっていた群れのもう1頭に突っ込んで行く。
ターゲットのシカは俺の姿を目で捉えていて、真横に飛ぶことで俺から距離を取ろうとしているが、こちらの方が速度はずっと上。
「はっ!」
首目がけて振り下ろした【影の剣】は、しっかりと頭部を刎ね飛ばした。
これで2頭を仕留めて、2頭に深手を負わせることが出来た。
この勢いのまま残りの2頭も……と思ったが。
「よしっ……と、ここまでか」
混乱から立ち直った直後の隙を狙って、上手く突っ込んで行くことが出来たが、残りの2頭はもう臨戦態勢に入ってしまっている。
たかが魔獣2頭にやられるようなことはないが、他にまだ2頭いる。
無理に留まって戦わずに、こっちも仲間に任せよう。
「お? 1頭こっちも仕留めたのかな?」
俺がシカの群れを飛び越えながら兵のもとに戻ると、ちょうど最初に彼等とぶつかった1頭が、槍を突き刺されて地面に崩れ落ちるところだった。
見たところ、心臓と首の両サイドをしっかりと貫いている。
これはもう致命傷だろう。
「倒した?」
後ろから俺が声をかけると、槍を引き抜きながら答えた。
「ああ。手応えはあったぜ。見たところアンタも……2頭か? やったよな?」
「うん。他の2頭も倒し切れてはいないけど、傷はしっかり与えたよ。無傷なのは1頭だけだね」
まぁ……それなりに深手を与えたはずなんだが、血を流しつつもしっかり起き上がっているし、まだまだ油断は出来ないかもしれない。
「残り3頭だな……。このまま俺たちが引き付けるから、副長は止めを頼む」
彼等は、俺が言うまでもなく油断はしていないようで、数が減った群れから目を離したりはしない。
さっきの戦闘も余裕っぽかったし、囮……じゃなくて、盾役はこのまま彼等に任せて、俺はしっかり止め役を全うしよう。
「了解。まだ周りに他の魔物はいないけど、長引かせたくないしさっさと決めるね」
「おう!」
下から聞こえる威勢のいい返事を受けながら、俺は一旦シカの群れから身を隠すように森の上へと上昇していった。
◇
先程の戦闘で出来たシカ6頭分の死体は、捨てておくのは危ないし、何よりちょっと勿体無い。
拠点に持って帰れば立派な肉になるもんな。
ってことで、血抜き等の処理を兵たちに任せて、班から離脱してもう一つの班のもとに向かっていた。
「おやぁ……? ここら辺にいると思ったんだけどな。いっそ森に下りて探すか?」
すぐに見つかるかと思ったが、木が邪魔で上から飛んでいると中々見つけづらく、少々彷徨ってしまったが。
「あ、いた」
大体北に200メートルほど離れたところで、移動している彼等を見つけることが出来た。
合流しようと、そちらに向かって飛んで行くと。
「おわっと……オレオレ。攻撃しないでね」
大声で呼びかけるわけにもいかないし、静かに接近していったんだが……俺に気付いた冒険者の一人が槍を向けてきた。
慌てて俺だと主張すると、「なんだ……」と槍を下ろした。
この雨の中、まだ距離が数十メートルあったのによく気付けたもんだ。
流石ベテランってところかな?
「どうした? 向こうで何かが起きたってわけじゃなさそうだが……」
「いや……大したことじゃ無いけど、起きたと言えば起きたんだよね。その前に、こっちの探索状況はどう?」
「所々獣の痕跡は見つけたが、特に変わったものは見当たらなかったな。この辺ならこんなもんだろう。それで、何があったんだ?」
どうやら彼等の探索は今日は空振りになりそうだ。
それなら、シカの運搬を頼んでもいいかな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・6枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




