1408
「ありがとうございます。ただ、この場は我々だけで問題ありません」
俺もこの場に残ろうかという提案に、彼は首を横に振った。
俺も一緒の方が便利ではあるが、無理強いするようなことでもないし、俺は「そっか」と答えると、【浮き玉】を浮き上がらせた。
「それじゃー、オレはお先に出発するよ。そろそろ日が落ちる頃だし、皆も気を付けてね」
何人もで固まっているとそれだけ魔物を呼び寄せかねないし、俺はさらに色々恩恵品や装備で魔物相手には目立つかもしれない。
ここは長居せずに、さっさとこの場を離れてしまおう。
「はっ。我々もすぐに出発します。セラ副長もお気をつけて」
俺は彼に一言「うん」と答えると、その場を飛び立った。
「さてさて……」
飛び立って早々ではあるが、俺はそう呟きながら振り返った。
どうやら、彼等はまだ作業を続けているようだ。
まぁ……「すぐに出発する」って言っていたし、あんまり時間はかからないだろう。
「それなら大丈夫とは思うけど、それでも念のためだ。少し回り道してみようかね……。あまり東側に行くと危ないし、かといって森に入るのも何が起きるかわからないし……そうなると、上かな?」
街道を領都に向かって南下していたが、俺は【浮き玉】の高度をさらに上げることにした。
◇
先程までは、地上から1メートルほどの高さを飛んでいたんだが、今俺がいるのは大体地上から50メートル程の高さのところだろうか?
これなら街道から外れなくても遠くまで見通せるし、仮に魔物が森の端にいたとしても、手を出そうとも思わないだろう。
安全に街道周辺の様子を探れるわけだ。
だが。
「久しぶりにこれだけ高く飛んでるけど……結構怖いな。雷とか落ちないよね?」
俺はそう呟きながら、頭を真上に向けた。
厚い雲と、遠くで微かにゴロゴロと鳴っている音が聞こえてくる。
高高度を飛ぶことはこれまでもたまにあったが、この時期に飛ぶことはなかったから頭になかったが、雷ってもんがあるんだよな。
流石の【風の衣】も雷は防げないだろうし、【琥珀の盾】もどうなるか。
高度を上げたのは軽率だったかな?
「ともあれ……今更森の方に飛んで行くわけにもいかないし、さっさと周囲の確認をしようか」
俺は街道の両脇に広がる森を、交互にジーっと睨んだ。
相変わらず西側の、北の森には生物の気配は無い。
この辺りも、まだ生物は戻って来ていないようだな。
拠点を出てすぐにでも確認しておいたら、また森の様子の違いが分かったかもしれないが……明日以降の確認事項として覚えておこう。
んで、東側はー……?
「いるね。数は4体で小型の……妖魔種かな? ゴブリンかコボルトか、どっちかだね」
一の森に視線を向けると、ここから300メートルほど離れた所に、それぞれ少しずつ距離を空けて移動している魔物の姿がある。
争っているわけでもないし、かといって違う群れというには距離が近すぎる。
あの4体で一つの群れってことかな?
4体だけであんな森の端をウロウロしているってことは……森の奥から弾き出された群れなんだろう。
大方餌か寝床でも探しているんだろうが、アレを放置していたら、後からここを通る兵たちが襲われるかもしれない。
「よし……それじゃー、アレはオレが片付けるか!」
【影の剣】を発動すると、俺は一気に魔物の群れに向かって【浮き玉】を加速させた。
◇
「気付かれたっ!?」
群れがいる一の森の浅瀬に入る直前に、魔物の動きが急に変わったことがわかった。
距離を空けて移動していたのに、4体が集まろうとしている。
雨が降っているのに俺の接近に気付くなんて、鼻か耳かはわからないが、中々鋭いみたいだな。
だが!
「オレを迎え撃つつもりなのかな? 気配には敏感でも、命の危機にはちょっと鈍いみたいだね!」
さらに左足の【緋蜂の針】を発動すると、左足を前に突き出して森の中へと飛び込んで行った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・6枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




