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「失礼します。姫、明日以降の予定を伝えに参りました」
部屋に入ってきたテレサが、資料を片手に俺たちの前にやって来た。
夕食後、俺たちは毎度のようにセリアーナの部屋に集まっていたが、テレサは用があるからとどこかに行っていたんだが……下の騎士団本部に行っていたみたいだな。
よくよく考えると俺は今回の件について、明日の朝から出発するってことと、領地の北部に出向くってこと以外はほとんど何も知らないんだよな。
一応隊長という肩書はあるが、直接指揮を執るとかそんなことはないだろう。
1番隊と2番隊がそれぞれ仕事をして、取りまとめ役は冒険者が行う。
一方俺は、必要なら隊長として顔を出しはするが、毎晩領都に帰還するし……ほとんどお飾りみたいなもんだ。
それに、そもそも調査隊の派遣が決定してから出発までの期間も無さ過ぎたし、隊長として恰好が付く程度の備えをするだけで十分かな……と思っていたんだが、まぁ……情報を知っておくのは悪くは無いか。
俺はセリアーナたちと共に、テレサから渡された資料を見ながら彼女の説明を聞くことにした。
◇
テレサの説明は、基本的には俺が知っていることと同じだった。
強いて言うなら、出発時刻や隊員名など、もう少し具体的になったくらいだろうか?
だが、資料にはもう少し詳しく書かれている。
ただ……。
「結構いい加減……と言ったらいいのかな? あんまり詳しいことは決まらなかったんだね」
「そうね……十数人もの隊員が滞在出来る場所ともなれば、ある程度は限られているけれど、そこは決めなくていいのかしら?」
説明がひと段落ついたところで、俺は資料を読んで湧いた疑問を口にした。
初日の明日こそ具体的に書かれているが、それ以外は時刻はもちろんだが、滞在先の街や村すら空欄になっている。
北の森の側にはいくつかの拠点があって、そのどれかに滞在するんだろう……ってのは間違いないんだが、そこは決めなくていいんだろうか?
どこからでも、北の森の調査には出ることが出来るし、別にどこでも構わないと言えば構わないんだが……。
俺たちの視線を受け止めると、テレサは小さく頷いて口を開いた。
「はっ。そこは下でも議論が重ねられたそうです。ですが、賊の協力者がどこにいるかもわからない以上は、細かく決めることで動きを狭めてしまわないか……という意見が出たようです。こちらから間に合うように伝令を送る時間はありませんし、状況に応じて動くか止まるかを判断することになりました」
「……そうなると1番隊の役割も重要になって来るわね」
「ええ。リック隊長が直々に指示を与えていました。それと……」
テレサは俺に視線を向けた。
「む?」
「元々、帰還した姫から外の状況を伺う予定でしたが、拠点の調査を行っている1番隊の兵からの情報も運んで欲しいそうです。状況に応じて、こちら側から移動先を指示する可能性もあります。よろしいですか?」
「うん。両方に対しての伝令役は、元から引き受けるつもりだしね」
「ありがとうございます。お伝えすることは以上です」
「ご苦労だったわね。貴女もかけなさい」
セリアーナの言葉にテレサは短く返事をすると、ソファーの空いたスペースに座った。
いつも通りこのまま皆でお喋りをするんだろうが……。
「オレはそろそろ休ませてもらうよ。明日早いしね」
俺はお先に退散させて貰おう。
今日は珍しくたっぷり運動したし、明日は早いのに寝過ごしたら大変だ。
……まぁ、起こしてくれる相手はたくさんいるし、まず大丈夫だとは思うが、念のためだ。
俺のその言葉に、セリアーナは「そうね」と笑いながら答えた。
「起きるだけなら問題はないでしょうけれど……寝ぼけて外を飛ばれたら迷惑ですものね。さっさと寝てしまいなさい」
「流石に寝ぼけて飛んだりはしないよ……多分。それじゃ、お休み」
大丈夫だよな……と少々不安に思いつつ、俺は皆に挨拶をして【浮き玉】を寝室に向かわせた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




