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尻尾を別の木に巻き付けるために体を伸ばし切っていたヘビは、俺の斬撃に対処出来なかった。
俺が最初に仕掛けた時は、刃が触れてから斬りこむ前に、体を震わせて弾き返されてしまったんだが……今度は完璧だ!
「尻尾切断したよ!! もう退がれないはず!!」
「よくやった! セラ、お前はそのままだ! 俺たちは前に出る。一気に決めるぞ!」
俺の報告を受けたアレクはすぐに次の指示を出すと、盾を構えて突っ込んで行った。
間髪置かずに、テレサが木に剣を叩きつける音がする。
その一撃は他の木と同様に一発で幹を砕き、ゆっくりと倒れていく。
ヘビは、引っ張り落されないようにその木に巻き付けていた体を解くと、空中で何とか体勢を維持しようと踏ん張っている。
今まで巻き付いている木が一本倒れたところで、他の部分で体を保持していたが、尻尾の部分が無くなったため、バランスを大きく崩して……。
ズドンッと、大きな音を立てて地面に落下した。
俺は宙に浮いているからわからないが、その落下の影響で辺りの木も揺れているし、相当な重さだったんだろう。
そんな重さの巨体に暴れられたら、生半可な力じゃ耐えられないだろうが、アレクは見事に盾でその体を弾いている。
「……上手く弾いているけど、それでも近付くのは簡単じゃなさそうだね」
ヘビの攻撃はアレクが防いでいるが、暴れる体が危険すぎて他の三人は近付けないでいる。
テレサと、その反対側にリックとルイが回っているが、遠巻きにウロウロしている状況だ。
もう一匹の方はどうやって倒したのかはわからないが、折角地上に降ろすことが出来たのに、戦闘に持ち込む事すら出来ていない。
樹上にいた時と違って俺も援護は難しいし、これはしばらくアレクに耐えて貰わないといけないかな?
それか。
「テレサー! 弓使う?」
連発は出来ないとは言え、威力は文句なしの【ダンレムの糸】を渡して、離れた場所から狙い打つってのがいいんじゃないか?
【ダンレムの糸】はちょっと威力が強すぎるし、迂闊に森の中で使ってしまおうものなら森を荒らしてしまい、魔物の活動に大きな影響が出かねないから、中での使用は控えた方がいいが……今の森の状況を考えたら今更だよな。
そう思い、上からテレサに向かって声をかけた。
彼女は今、仕掛ける隙を探してヘビの側面をウロウロしていたが、一旦距離をとって上を向いた。
「いえ、もし仕留めきれなかった場合の隙が大きすぎます。時間はかかりますが、このままで構いません!」
「りょーかい!」
確かに反対側の二人は、その場を離れないといけないし、テレサ自体も足を止めなければいけない。
そして、アレクもヘビをその場に縫い付けるために、さらに無理をする必要が出て来る。
ピンポイントで高い威力を出せる【赤の剣】があるのなら、この敵はそっちの方が向いているんだろう。
俺は返事をすると、ヘビの全身がよく見えるように周囲に魔法をばら撒いた。
◇
ヘビを木の上から落として数分が経っただろう。
相変わらずヘビは暴れているが、徐々に動きが小さくなってきた。
アレクたちが慣れてきたんだろうな。
両側から魔法を撃って、ヘビの体が大きく跳ねそうになる直前にその動きを潰すという、対処の仕方が出来上がってきている。
この分なら、さらにもう数分もしたらテレサが仕掛けられるようになるだろう。
何も出来ない状況は歯痒いが、俺はこのままここで観察に……。
「うん?」
下の状況をより把握出来るようにと、ヘビの真上から少し離れることにしたんだが、森の奥の木の上に、今までいなかったはずの魔物の姿が見えた。
たまたま目を向けた先にいたから気付けたが、普段なら見落としていてもおかしくないレベルの、ハッキリ言って雑魚と言っていいレベルの魔物だ。
だが、その程度の魔物が、この修羅場に近づいて来るかな?
アカメたちは反応をしていないし、相手にするまでもない程度の魔物なんだが……ちょっと気になるな。
俺はそいつを刺激しないように、ゆっくりと少しずつ接近していった。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




