1309
「……ふぅ」
前線をアレクたちに任せて、俺は一旦後方の拠点まで下がることにした。
そちらでは、俺と一緒に森を出たルイたちが、机の周りで兵たちに交ざって話をしている。
パッと見た感じ、ルイたちは4人とも揃っているし、街に報告に行った者も戻って来ているんだろう。
その割には応援の姿は見えないけれど……温存なのかな?
目に入る範囲にいる冒険者は十分な腕を持っているようだが、確かもう少し弱そうなのがいたはずなんだよな。
そんなことを考えながら真っ直ぐ拠点に近づくと、それに気付いたルイが顔をこちらに向けた。
「セラ様っ!? 怪我でもされましたか?」
「いや、ただの休憩」
今の俺は明かりを持っていないのによく気付けたな……と感心しつつ、彼女たちの元に向かい、返事をした。
「今こっちはどうなってるの? 見たところ、一緒にいた冒険者たちは何人かいなくなってるけど……」
アレクたちと違って、こっちのパーティーはそこまで激しい戦いを行っていたわけじゃないし、リタイアするようなことはないはずだ。
「はっ。彼等は冒険者ギルドに向かわせております。あちらで騎士団本部との仲介役を任されているでしょう」
「なるほど……」
まぁ……彼等は戦力的にはそこまで大きいわけじゃないし、現場に出ていた冒険者ってことで、間に入って色々雑務を任せる方がいいのかもな。
「騎士団の応援はどうなのかな? リック君が率いて来るとは聞いてるけど……」
「念のため、街の外周を回ってからこちらに来るとのことです。戦力的にはまだこちらも余裕があるので、今のうちにと考えたのではないでしょうか? 報告ではもう街を発っているそうです」
「ほぅ……」
一応街で分断される形にはなっているが、それでも一の森は街の南側まで広がっているし、この北の森だって街の東側まで広がっている。
俺たちがこっちに専念している間に反対側に回り込まれていて、街の戦力が北側に集まったタイミングで、南側を急襲されたら……。
まぁ、ジグハルトたちが残っているしどうとでもなりそうではあるが、街に少しは被害が出るかもしれないもんな。
もしそうなったら、ここ数日の間1番隊の兵が色々慣れない職人の支援なんかしているのに、それが台無しになってしまう。
そうならないためにも、周囲の見回りは必要なことなんだろう。
「んじゃ、そのうちこっちに来るか……。それじゃー、オレはしばらくここらへんで休ませてもらうから、気にしないでね」
「はっ。その間の周囲の守りは私たちにお任せください」
ルイの声を背に、俺は【浮き玉】にもたれかかり体の力を抜いた。
◇
俺が後方拠点に下がってきてから10分ほど経ったところで、1番隊が東西の両側から北門に向かってやって来た。
時間の短縮のために、彼等は隊を二つに分けて街の外周を回って来たらしい。
幸い街の周囲では何の問題も起きておらず、北側に集中出来るようだ。
よかったよかった。
んで、リックたちが到着してしばらく経ったんだが。
「ねー」
「どうした」
リックは拠点に入ると、前線には出て行かずにルイたちと同様に、地図が広げられた机の前で報告を受けていた。
「さっきから見てるんだけどさ、皆は向こうには参加しないの?」
彼が率いている兵は30人ほどで、今も戦闘が繰り広げられている前線に送れば、大分状況が変わると思うんだが……どうなんだろう?
俺の質問に、リックは小さく頷くと答え始めた。
「まだ魔物の群れの全容がわからないだろう? どれだけ長引くかわからない以上はいつでも交代出来る人員を用意しておくべきだ。我々が到着したことはアレクシオ隊長に伝わっているだろうし、必要になれば向こうから要請が来るだろう……見ろ、アレがそうだ」
真面目な質問だったからか、リックは馬鹿にするような真似はせずに答えていたが、その途中でふと視線を森の方に向けた。
その視線を追うと、向こうから明かりを掲げて走って来る兵が見える。
「……アレクと一緒にいた兵だね」
「兵の交代要請だろうな」
そう言うと、リックは周りの兵に準備をするように指示を出した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




