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ルイたちと合流した俺は、移動をしながら事情を説明していた。
「アレクの旦那たちが、魔物を、引き付けてるのかっ」
「そうそう。んで、オレは君たちが知らないままそれに巻き込まれないように、進路の魔物を倒しながら伝えるために探してたんだ」
冒険者たちは走りながらなので少々きつそうだが、話はちゃんと理解出来ているようだ。
ここまで戦闘を続けてきたうえに、鎧まで着込んでいるのにタフなもんだ。
余裕がありそうなのは、軽装のルイたちか。
俺は飛びながら後ろを振り向くと、彼女たちに向かって疑問を訊ねることにした。
「ところでさ、皆はどうして向こう側から来たの?」
別れた時は一先ず西に向かって、それから街の北門前を守る部隊と合流するとか言っていたはずだが、どうも西側に居続けていたっぽいんだよな。
魔物が俺の進路上に集まっていたのも、彼女たちから逃げようとしていたからかもしれない。
「はっ。我々は一度森の浅瀬を西まで抜けきって、その後は仰る通り北門前の隊と合流をしました。その際に、アレクシオ隊長やセラ様の援護のために、我々も森の中に入るようにと、テレサ様からの指示がありました」
「テレサの? ……っと、そこの岩の陰に魔物!」
話の途中だが、前方の岩陰に潜む魔物を発見した。
数も強さも大したことないが、不意打ちを狙っているのか、それともただただ身を隠しているのか。
どっちかわからないが、見逃すってのは無いよな。
俺は会話を中断して、ルイたちに指示を出した。
俺が仕留めてもいいんだが、顔見知りの連中ばかりとはいえ一応【影の剣】は温存しておきたいし、ここは彼等に任せてしまおう。
「はっ。私が仕掛けます。貴方たちは止めをっ!」
ルイはそう言うなり、岩の奥に向けて風の魔法を放った。
着弾したのは魔物の背後で、それだけじゃ倒せるほどの威力はないが、地面に生えた草を薙ぎ払うほどの威力はある。
背後からいきなりその強風を浴びてバランスを崩した魔物たちは、たまらず岩陰から押し出されてきて……。
「……ぉぉぅ」
あっという間に冒険者たちに仕留められていた。
確かコイツ等即席のパーティーなんだよな?
いい連携じゃないか。
そんなことを考えながら、その場で俺はポカンとした表情を浮かべていると、止めを刺す冒険者たちに代わって、周囲の警戒をしていたルイたちが声をかけてきた。
「セラ様、この魔物の死体の処理は後回しで構いませんか? 他の戦闘でも、死体の処理は一箇所に纏めるだけで後回しにしていましたが……」
アンデッド対策や他の肉食の魔物や獣を呼び寄せないためにも、死体の処理は大事だ。
とは言え、今は緊急事態で、悠長にそんなことをやる余裕はない。
俺も森に入ってからの魔物の死体は全部放置しているしな。
明日にでも兵士や冒険者たちに頑張ってもらおう。
「うんうん。今はそれどころじゃないしね。後回しでいいよ」
俺はルイたちに向かってそう伝えると、「急ごう」と先を促した。
◇
さて、さらにあの後もう一度だけ魔物の群れと戦闘があったが、先程と同様に一気に蹴散らすことが出来た。
あの魔物たちは、森の奥にいたボスが率いる群れには属していないようで、奥に行くのを避けていたし、あまり動ける場が無かったんだろう。
追いかけるような手間をかけさせられることもなく、簡単に片づけられた。
その甲斐あってか、アレクたちに追いつかれることもなく、俺たちは森の外に辿り着いた。
もっとも、アカメたちは後ろをずっと気にしていたし、そこまで離れてはいなかったと思う。
もう少し遭遇する魔物の数が多かったり、戦闘でもたついたりしていたら追いつかれていたかもな。
途中までは余裕を見せていたルイたちも、流石にここまで走って来ると息が切れているが……。
「無事辿り着いたね。ルイさんたちの誰か一人でいいから、オレが話したことを兵に伝えてもらえる? オレは東にいるテレサのところに行って来るから」
疲れているのに申し訳ないが、さらに俺は指示を彼女たちに与えた。
俺が行くのが一番手っ取り早いのは間違いないんだが、テレサたちにも話しておいた方がいいだろう。
「……はっ。私が向かいます」
その返事を聞いた俺は、今度は森の東目指して飛び立った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




