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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
5章・王都で色々ザックザク
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「そろそろ頃合いね。セラ、【隠れ家】を出して頂戴」


【範囲識別】を発動し、周囲を探っていたセリアーナが指示を出す。

王都を出て30分程ガタゴトと馬車に揺られていたのだが、王家御用達の武装馬車とは言え、やはり快適とまでは言えない。

まぁ、俺は浮いているから問題無いんだが……。


「アレク、私達は「奥」へ行きます」


エレナが後ろを向き小窓を開け、御者を務めるアレクに伝えた。

「奥」とは【隠れ家】の隠語だ。

シンプルでわかりやすい。


「ああ、わかった。何かあれば伝えるが、中からも見ておいてくれよ」


「ええ。貴方もお願いしますね」


伝え終えたエレナが向き直る。


しかしアレクはずっと御者台か。

あそこに座った事があるけれど、硬いんだよな……。

クッションでも渡そうかね。


「じゃ、入るよ」


【隠れ家】を発動し、2人も一緒に入る。

これで、馬車の中に誰も居なくなった。


これが普通の馬車であったなら、周りにいる恐らく相当強いであろう護衛達が、馬車の中から俺達が消えてしまった事に気づくはずだ。

ところが、この武装馬車と呼ばれる馬車だと違う。


武装などと呼ばれているが武器が付いているわけでは無く、特殊な材質を用いて気配や魔力を遮断している。

そうして、中の様子がわからない様にして今回の様に要人の護送に使われる。

実際アカメや【妖精の瞳】で試してみたが、外の様子はわからなかった。


そんな訳で気兼ねなく【隠れ家】を使える。


「あ、ちゃんと見れるね」


リビングのモニターを点けると、馬車の外の様子も確認できた。


この馬車を先頭に、伯爵夫妻にジグハルト達の乗る馬車、リーゼル達の馬車に、最後尾は荷物を積んだ通常の馬車。

そして馬車の周りに護衛の騎士達がいて、全員合わせて長さ50メートル程の集団になっている。

この分なら移動中は【隠れ家】に入っていたままで大丈夫だ。


「結構。他の者達には悪いけれど、私達はこのまま中でくつろぎましょう」


モニターに目をやり、軽く笑みを浮かべながらいつもの席へ向かうセリアーナ。

あの顔は悪いとは微塵にも思っていないな……!



昼食と1度小休憩を行い、14時を少し回った頃に、一行はエルスト領都の領主の屋敷へと辿り着いた。

ここで2泊し、セリアーナを含むお偉いさんは領主のハーレン男爵と食事や会談を行うことになっている。


ここだけじゃ無く、これから通過する領地では全部領主の屋敷で2泊する。

それをパスすることが出来れば大分短縮できるが、王都からゼルキス、果ては新領地への最短ルート上にあるだけに、今後の関係を考えるとそうもいかないんだろう。


セリアーナは、他所の程度を調べてくると嘯いていたが、面倒臭そうではあった。

お貴族様も大変だ。


「お前、こっちでいいのか?」


肩に俺を乗せたアレクが、宿泊先に向かいながら尋ねてきた。


「お嬢様とは部屋が別々になるし、なんか使用人同士で一纏めになるらしいからね。めんどくさい」


何よりアイテムの使用許可が出ないだろう。

知らない場所で【浮き玉】無しは、ちときつい。

戦闘向きじゃ無いし、街中なら問題無いんだろうが、仮にも領主の屋敷だからな……今後の付き合いもあるし、俺がごねるわけにもいかない。


「アレクこそ良かったの?」


エレナと伯爵夫妻やリーゼルの従者は貴族で、ジグハルト達は賓客扱いで屋敷に部屋が用意されている。

一方アレクは個室でこそあるが、他の騎士達と同じく離れとちょっと差がある。


「ふっ。まあ俺もまだまだあの人達に比べたら格が足りないからな。いずれは、な」


あまり気にしていない様だ。


「明日はお前はどうするんだ?」


ふと思いついたようにこちらを向いてくる。


「明日?」


「ああ。お嬢様達は街を案内されるだろうからな。護衛は男爵がここの兵を付けるだろうし、俺は休ませてもらうつもりだ」


ちょっと見てみたくはあるが……。


「オレも部屋にいようかな。疲れそうだ」


ぞろぞろ引き連れて、店の者に整列で迎えられる姿を想像してしまった。


「違いないな」


アレクも同じことを想像したのかもしれない。

笑って同意した。


セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・1枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・29枚

エレナ・【】・【緑の牙】・2枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] セラ&アレクって結構いいコンビ? スペックというか技能的に補い合えて、人格的な相性もよさそう。こう、豪快なおじさまと天然な姪っぽい感じで。
[一言] 馬車の中で浮くのって慣性からも切り離されるから却ってめんどくさくね?
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