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「リック隊長が、1番隊を住民と距離を取らせている理由はわかっています。商業ギルドと繋がりの深い我々が、任務中に住民と交流することでの、余計な勘ぐりを避けるためでしょう」
「みたいだね」
「はい。確かに我々の活動方針だと接する機会がありませんし、住民からも恐れられているのかも知れませんが、セラ副長が所属する2番隊が冒険者と共に活動することで補えています」
俺たちの会話を聞いていたらしく、さらにもう一人加わってきた。
「そうですね。どのような形であれ、領民の役に立てるのならば本望です」
「ふむ」
模範的な言葉を口にする彼等に、とりあえず頷いたが、どうやらまだ続きがあるらしい。
彼等は何となく互いの顔を見て、ついでに後ろからついて来ている兵たちを見ると、「ですが……」と呟くと。
「正直なところ、我々もこの街で暮らす身ですし、あまりにも住民と距離が開きすぎていることが気になってはいました。1番隊全員の顔が知られているわけではありませんが、住民同士の噂等でそれとなく伝わったりもしますしね」
「それは……そうだよね」
リックを始めとした幹部陣は騎士階級でお貴族様だし、住んでいる場所がそもそも違ったりもするし、大半が使用人を雇っていたりもするから、普段の生活で街の人間と接する機会は滅多にない。
ところが、彼等のような一般兵だとそうはいかない。
もちろん彼等だって、街の中でも貴族街寄りのちょっといいところだったり、あるいは騎士団の宿舎だったりに住んでいるしで、多少は距離があるが、それでも幹部陣のように使用人に全てを任せたり……なんて暮らしぶりじゃないし、街の住民とも接することもある。
そうなって来ると、どうしても住民間でその情報は広まったりもするよな。
んで、そうなって来ると比較されるのは2番隊とだが……なんと言っても2番隊は街のアイドル的存在だ。
多少なりとも並べるのは、冒険者のトップ連中くらいだろう。
「ウチと比べられたらキツイよね……」
一応俺もその一員ではあるが、とりあえずそれは置いておくとして……俺は彼等に向かって労うような声でそう言った。
それを聞いて「ハハハ」と笑うと、明るい表情でこちらを見た。
「そこは役割の分担だと納得しています。我々では2番隊の代わりは無理ですからね。ですが、今回のように好意的に見られる仕事で役に立てるのも悪くはありません。自分たちは参加しませんでしたが、昨日作業の支援に参加した者たちも、そう言っていました。……もちろん、隊長たちには言えませんが」
「あ、やっぱり隠しておいた方がいいの?」
「わかりません。ただ、どうしても職人の下働きに見えなくもないですし、まず無いことでしょうが、1番隊が軽んじられるようになるかもしれないと、隊長たちは警戒しているようです」
「なるほどねー……」
リック辺りがどう考えているのかは昨日の話で何となく予想は出来ていたし、それに関しては俺が関わることじゃないから気にしなくてもいいんだが……意外と1番隊の隊員たちの考えが柔軟なんだよな。
今までのことを考えると、彼等もリックみたいに厳格な連中なんじゃないか……って思っていたんだが、誤解してたかな?
今回の件は、今日明日にでも終了するだろうけれど、意外と住民サービス的なことも1番隊に任せてもいいのかもしれないな。
もちろん、リックが懸念しているように、1番隊の格というか立ち位置が変わったりしないように気を付ける必要もあるが……意外と住民は1番隊の動向とか気にしていない可能性が高いってのが今回の件でわかったりもしている。
慌てて何でもかんでも話を進めるのもよくないだろうからすぐにってことはないが、それでも雨季の間に一つか二つくらい考えてもらえないか……って提案するくらいならいいかもな。
住民からの支持が分散して、2番隊の人気や住民からの支持が下がったりもするかもしれないが、2番隊が受け持っていた、頭を使うような不慣れな仕事を1番隊に投げられるかもしれないし、騎士団的にはマイナスにならないだろう。
そもそも排除されたりってことはないし、割とこの考えは有りかもしれない。
「……ふむ」
「どうかしましたか?」
別に隠すようなことでもないが……彼等にまたリックからのプレッシャーが増すかもしれないし、ここははぐらかしておこう。
「お? いや、何でも無いよ。さ、次のところに行こう!」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




