1270
騎士団本部で1番隊の隊員たちと合流した俺は、さっそく巡回へと出発した。
ちなみに、今日もこれまでと同じルートを辿っている。
まぁ……街の巡回で、そんな斬新なルートなんてあるわけないし、同じになるのは当然でもあるか。
んで、3日目ともなれば住民にとってもそろそろお馴染みになって来るのかもしれない。
それか、雨季に入る直前の最後のイベント的な扱いなんだろうか?
昨日と一昨日よりも、俺たちを見ようと通りに出て来ている者たちの数はずっと多い。
このペースだと、街の巡回が終了するのは昨日よりも遅くなるだろうな。
さて……それはそれとしてだ。
「…………」
今日も先頭にいる俺は、チラっと後ろを振り返り隊員たちに視線を向けた。
そして、彼等に向かって声をかけた。
「君たち……緊張しすぎじゃない?」
「はっ……いえ、申し訳ありません」
隊員の一人が、申し訳なさそうにそう言って来るが、その表情は随分と緊張している。
昨日も一昨日も多少は緊張していたが……その比じゃないな。
俺たちを見に通りに出てきた住民たちも、その緊張が伝わっているのか、ちょっと遠慮しているように見える。
しかし……彼等のこの感じ。
これはもしや?
「リック隊長から何か言われた?」
リックは直接領内の政策に携わる身じゃないが……セリアーナたちよりも頭が固いもんな。
昨日はセリアーナたちも色々考えこんでいたし、今日も時折何かを考えこむような姿を見せていたが、彼女の場合は気軽に相談できる相手がいる。
だが、リックの場合は同格の相手と言ったらアレクくらいだ。
一晩悩んで、変な方向に思考がひねくれたりとか……してないよな?
大丈夫とは思うが、ついつい気になって聞いてしまった。
聞かれた彼は、少々躊躇うような素振りを見せたが、俺が「うん?」と促すと口を開いた。
「この巡回任務に関しては、あくまで日常の業務の一環ですし、これまで特に隊長から何かを言われることはありませんでした。セラ副長が同行することになった初日だけ簡単な指示がありましたが、それくらいでした。ただ……今日は朝から住民相手に気を抜いた姿を見せるな等の注意があって……」
「あらぁ……。別に君たち普段から街を移動する時に気を抜いたりしてないのにね……」
やっぱリックも色々気にしていたか。
ただ、具体的にどうしていいかわからないから、とりあえず住民に隙のある姿を見せないように……とだけ指示を出したってところかな?
まぁ、別にその指示は間違っちゃいないんだろうが、折角打ち解けつつあったのにまた溝が出来かねない。
これはよろしくないよな。
「ふむ……。とりあえず、その指示は無かったことにしていいよ」
「は? よろしいのでしょうか……?」
「いいのいいの。今はこの巡回部隊の隊長はオレだし、オレの方針に合わせてよ。ほら、向こうの人とかこっち見てるし、手でも振ったら?」
もし1番隊の動向を街中の人間が注目していたり……とかだったら、流石に俺もこんな指示は出さないが、幸いあんまり気にしていないっぽいし、それならこれくらいは別にいいよな?
俺の指示に従って、慌てて手を振る兵たちを見ながら、俺はそんなことを考えていた。
◇
街の巡回は滞りなく進んで行き、中央通りを通りながら東門が見える場所までやって来た。
そして、そこから道沿いに北に向かうんだが、中央通りから離れたことで通りに出ている住民の数も減ったし、ようやく話をするだけの余裕も出てきた。
ってことで。
「そういやさ」
「は?」
「昨日の職人の支援の件ってさ、君たち的にはどうなんよ」
セリアーナたちからは直接話を聞いたし、間接的にではあるが、隊長のリックの反応も聞いてはいるが、肝心の当事者である1番隊の隊員たちの話を聞いていないことを思い出した。
ちょうどいい機会だし、彼等にも話を聞いてみようと思う。
今同行している連中の中に照明係に派遣された者がいるかどうかはわからないが、急に入ったイレギュラーな割に別に秘密の任務ってわけじゃないし、本部で話くらいは聞いているんじゃないか?
彼等もリック相手ならともかく、俺にならあんまり気張ったりせずに、素直に答えるかもしれないしな!
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




