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「ところでセラ。軽く報告は受けているが、お前さんは何時頃から狩りに復帰するんだ? 足の具合はひどいのか?」
そろそろ資料が読み終わりそうとなった時、カーンがふと資料から顔を上げたかと思うと、そんなことを言ってきた。
怪我が治るまでの間、狩りには出ずに大人しくしている……ってのが俺の治療方針なんだが、冒険者ギルドにまでその情報が伝わってたのか……。
「ひどいってほどじゃないけど、一月くらいは大人しくしてるつもりだね」
そう伝えると、カーンは何やら考え込むような素振りをしている。
「……何か困ってそうだね。オレにやって欲しいことでもあった?」
中々切りだしてこないので、俺の方からそう訊ねることにした。
俺絡みのことで、何か面倒ごとでもあったのかな?
「ああ……冒険者の活動が少し停滞しているんだ。ダンジョンはまだいいんだが、外の狩場。特に魔境がな……」
気まずそうに口を開くカーン。
ただ、その内容はもうすでに聞いていたものだ。
何でも屋の俺が狩場にいなかったから、何となく危険な狩場で狩りをする冒険者の数が減っていっていた……ってヤツだな。
「……ああ、それは昨日屋敷で聞いたよ。でも、そんなになの?」
「減っているな」
俺の言葉にカーンは即答した。
聞いてはいたものの、ここまではっきり言うとは思っていなかったからびっくりだ。
まぁ、彼はリアーナの冒険者ギルドのトップだし、アレクたちよりももっと情報を把握出来ているだろう。
今更俺たち相手に隠しても仕方がないとでも思ったのかな?
アレクもこっちの話に興味があるのか、資料を机に置いてこちらを見ている。
「腕がいい連中からしたら魔境の狩場が空いていていいんだろうが、その連中も雨季に入ったら街に引っ込むだろう。数週間外の狩場に出ない期間が出来るわけなんだが……これが続くと、そのまま外での狩りを避けてしまう流れが出来かねない。今はまだ引っ張る連中がいるからいいが、何時までもそれに頼るわけにもいかないだろう?」
「ほぅ……まぁ、言わんとすることは何となくわかるかな」
腕が立つ上位の連中なら魔境の方が稼げるし、どんどんそっちに行くんだろうけれど……あの連中は結構奥の方にまで行っちゃうからな。
特に開拓が進んできている今、浅瀬の方よりももっと奥でばかり狩りをすることになるだろう。
んで、別にそれ自体はいいんだが、魔境の浅瀬で狩りをする冒険者が、今だけじゃなくて今後もいなくなってしまうことを警戒しているのか。
「魔境の浅瀬とはいえ、それなりに手強いしね。その辺で狩りをしてた人たちも商会の護衛とかやってたし……。何か手を打っておかないと、そこで狩ろうって選択肢が無くなっちゃうかもしれないんだね?」
「ああ。まあ、それでお前さんに狩場に出てもらうってのも違うかもしれないが……」
ふむ。
冒険者の動向が、俺一人に左右されるような組織ってのも困るが、今回のはイレギュラーだしな。
俺自身は協力することは吝かではないが……。
「アレク?」
「雨季に入る前にってことだろう? それならまだ駄目だな」
「そうか……狩りが途切れる前に少しでもと思ったんだが……まあ、時間が無さすぎるし仕方がないな」
アレクの言葉に、カーンは食い下がること無くあっさりと頷いた。
何となくもう少し粘ると思ったんだが……まぁ、思い付きをただ喋っていたって感じだったし、そこまで切羽詰まった事態ではないのかな?
そう首を傾げていると、黙ったカーンに代わってアレクが口を開いた。
「狩場に出すわけにはいかないが……何か考えてみるか。お前も暇だろう?」
「うん。特にすることも無いしね。セリア様が良いって言うなら引き受けるよ」
と言っても、街の外に出ないで何が出来るかはわからないけどな!
だが。
「お? そいつは期待出来そうだな。何……別に大したことじゃなくていいんだ。少しでいいから外での狩りに意識を向けさせてくれたらいい。……頼むぜ?」
カーンは俺の言葉に嬉しそうに答えると、資料に向き直り作業を再開した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




