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屋敷に帰って来た俺たちは、玄関ホールでの出迎えの挨拶もそこそこに切り上げて解散となった。
まぁ……あんまり長話するような場所じゃないもんな。
ってことで、俺は部屋に戻るが……リーゼルとセリアーナは真っ直ぐ執務室だ。
2人とも……特にリーゼルは1年近く領地を空けていたし、仕事は山積みだろう。
流石に夜までお仕事ってことはないだろうが、領地を空けていた間の簡単な報告を受けているはずだ。
エレナも一緒に行っていたし、手強そうな気配がするな。
今日は何かとバタバタしていたのにご苦労なことだが、頑張ってくれ。
◇
さて、セリアーナはいないが俺はお構いなく彼女の部屋に入っている。
そして、俺だけじゃなくて、一緒に玄関で出迎えていたテレサとミネアさんも一緒だ。
ちなみに子供たちは乳母が面倒をみていて、セリアーナたちの仕事が落ち着いたら執務室に連れて行くらしい。
隣の部屋で乳母の子たちと一緒にいる子供たちの気配を感じるが……大人しくしているな。
今下手に構って捕まっても相手出来ないし、元気にしていたかはちょっと気になるが、向こうに任せておこう。
それよりも。
「いだだだだだだっ………!!」
セリアーナの寝室に響く俺の悲鳴。
なんか怪我をする度に似たような目に遭っている気がするが、気のせいだと思いたい。
ともあれ、俺の足を診るテレサの手を止めなければ。
ベッドに寝転がっていた俺は「ふんっ!」と体を起こして、テレサに向かって手のひらを向けた。
「痛い痛い! ちょっと待って、テレサ!」
俺の声に脛辺りを押さえていたテレサの手がピタリと止まる。
いやはや、久々に顔を合わせたと思えばコレとは……挨拶にしては手厳しいじゃないか。
「ひぃひぃ……どうよ? テレサから見て……」
折角体を起こしたが、息を整えるために再びベッドに寝転がった。
そして、テレサの顔を見るが……なんというか……困った様な表情を浮かべている。
「……あまり私には馴染みのない治療法ではありますが、差し当たって動かさなければ問題は無いでしょう。大分無理をしましたね」
テレサは、溜め息交じりに詰問するような口調で言ってきた。
それに「ぉぅ……」と気圧されていると。
「まあ、どういった事情があったのか聞かせてもらいましょう?」
同じく寝室にやって来て今の診察を見ていたミネアさんが、テレサに笑いながら声をかけた。
「……それもそうですね。どうしましょう? 姫、場所を変えますか?」
「いや、このままでいいよ。……どっこいせ」
流石に寝転がりながら話すのもなんだし、俺は体を起こした。
起きたり寝転がったり忙しいな……。
◇
どうせ詳細は夕食後にでも皆で話す時に聞くことになるだろうから、王都を発ってからマーセナル領の港に到着するまでのことは簡単に済ませた。
港に着くまでに襲われて、港についても襲われて、出港しても襲われて、海を大分進んでからも襲われて……。
大事ではあるが、賊に関しての取り調べはウチが担当しているわけじゃないし、ほとんどわかっていないし、報告出来ることも無いからな。
2人もその辺のことはわかっているのか、あっさりと流していた。
そして、話は進んでマーセナル領に到着してからの話になった。
港内の待機所で人質事件が起きたり、建物の外から【ダンレムの糸】の一撃をぶち込まれたり……色々あったもんだ。
改めて話しながら考えると、あの連中の執念深さがよくわかるな。
「貴女……よく無事だったわね。私は実際に見たことは無いけれど、その恩恵品のことは少しは知っているわ。こちら側に死者は出なかったんでしょう?」
「うんうん。護衛のリーダーさんが受け止めてたけど、防ぎきれなくて怪我をしてたね。後オレも。でも、建物は派手に壊れてたけど、目立った被害はそれくらいだったかな」
「アレの一撃を弾き飛ばしたのなら……確かに骨折してもおかしくありませんね。むしろ軽いくらいでしょうか……。姫の【祈り】も効果があったのでしょうか?」
テレサは当然だが、ミネアさんも【ダンレムの糸】のことは知っているようで、いざどういうことがあったのかを話していると、意外と感心しているようで、俺の怪我については仕方がないという空気になっていった。
怪我は別に俺が何かミスした結果ってわけじゃないんだよな。
ただ、何か突っ込まれるかな……と、ちょっとドキドキしていたんだが、どうやら俺が気にし過ぎていただけだったみたいだな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




