1202
街に入った俺たち一行は、まずは騎士団本部へと向かっていた。
街中だし馬車の速度を落として走っているので、通行人を見る余裕もある。
「冒険者の数は足りてそうだね……? それでも手が足りてないのかな」
南門から騎士団本部までの、あまり冒険者が用のないエリアでありながら、その道中ではそこそこ冒険者の姿が目に入った。
それも見習いや駆け出しのような、腕が足りない者ではなくて、魔境を含めた東部での狩りが可能そうな実力はある連中だ。
ダンジョンに行っててもおかしくはないが、狩場がダンジョンだけだと、混んでいる時なんかは稼ぎの効率が悪いから、他の場所でも狩りをするだろう。
だから、外の狩場でも狩りをしているはずなんだが……違うのかな?
「街の様子に変わりはないし、問題が起きているようには見えないわ。人手が足りないというよりも、冒険者の動かし方を変えたのかもしれないわね」
「ふぬ……まぁ、オレたちがここを発つ前にも色々あったしね。そっちの対処に忙しかったのかもね」
東部全体ではどこまで進んだかはわからないが、少なくともこのリアーナではもう教会勢力なんてあってないようなものだ。
とはいえ、領主とは関係性はあまり良くなかったが、それでも、冒険者を含めて長いことこの辺で権力を振るっていただけに、ポッカリ空いた穴のカバーに手を取られていてもおかしくない。
ましてや、領主も騎士団団長も領地を離れている状況だったしな。
我ながら結構納得出来る理由だなと、口にしながら俺は頷いた。
そして、そんなことを話している間に馬車は貴族街に入り、俺たちは領主の屋敷がある高台の下の騎士団本部に到着した。
俺たちはそのまま馬車に乗っているが、なにやら他の馬車の乗員が降りたり入れ替わったり……慌ただしく動いている。
そんな外とは対照的に、俺たちの馬車は静かなもの。
「……あの坂の上がご領主のお屋敷なのですね」
街に入ってすぐにこの高台は見えているし、貴族街に入れば下に続く坂や、坂の途中にあるアレクたちの屋敷も見えて来るが、リーダーは馬車が停止するまで興味深そうに窓の外を眺めていた。
地形を利用した山城のような建物は、平地が多い王都圏だと珍しいんだろうな。
ただ、リーダーの感心したような声で呟いた声は、少々硬いようにも感じる。
無理もない。
「ええ。貴女たちは一応私が雇ったし招いたわけでもあるから、客として屋敷に泊まってもらうけれど……冒険者として仕事をするには大分不便になっているわ」
「馬車なり馬なりで移動するのが前提の場所だもんね。冒険者ギルドからもちょっと離れてるし……徒歩だと大変だろうね」
セリアーナが今言ったように、彼女たちは屋敷に部屋を用意するようだ。
あの屋敷は、地下の訓練所を始め設備は調っているし、滞在するだけならいい場所だと思うんだが、冒険者の活動をしながら……だと大分不便だ。
自前の馬や馬車を用意出来るのならともかく、あの坂を武装したまま徒歩で……だとな。
冒険者ギルドからも距離があるし、移動だけで疲れ果ててしまうだろう。
大変って言葉で片付けられるレベルじゃーないよな。
本当は内部に騎士団本部を始め、色々な場所に繋がっている通路が隠れているし、そこの空き部屋にでも装備を置いておけば、屋敷に滞在しながらでもそこまで不便じゃないのかもしれないが、流石にそこを彼女たちが使うことはないだろうし、そもそも教えることもないだろう。
「追い出すつもりはないけれど、街中に宿を取った方がいいでしょうね。商業ギルドには私から話を通しておくから、手配してもらうといいわ」
「そうですね……。今日はもう時間がありませんから明日以降になりますが、仲間と街を歩いてみて、場所を選ぼうと思います」
苦笑しながらのリーダーの言葉に、セリアーナも笑いながら「それがいいわ」と言っていた。
◇
さて、オーギュストや王都から一緒だった兵たちと騎士団本部で別れてから、俺たちはガタゴト坂を上り屋敷へと辿り着いた。
屋敷や敷地内には一目でわかるような変化は無し。
まぁ……一月そこらじゃ、そんなもんかな?
それは屋敷の中も同じこと。
「旦那様、奥様、セラ様、お帰りなさいませ」
使用人を始め、いつものメンツが玄関ホールで整列していて、中に入ってきた俺たちを出迎えた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




