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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
2章・雇い主は、お嬢様
12/2034

10

「おかしな真似はするなよ!」


【隠れ家】から出るなりこれだ。


ごつい兄さんが前に立ち、そのやや後方で茶髪の姉さんが剣を抜きこちらに向け、警戒している。

我ながら弱そうな見かけなのに、油断していない。


まぁ、【隠れ家】から出る姿ってのは見た事無いからどんなのかはわからないが、何もない所から現れたら怪しまれるか。

でも剣を向けられたのはちとビビる。

これが殺気ってやつか。


「2人とも下がりなさい」


こちらをじろじろ見ながら2人を下げる金髪。

さらに、割と緊迫しているはずの空気をものともせずに話しかけてくる。


「敵対する気は無いんでしょう?付いてきなさい」


そう言うなりこちらの反応を待たず、さっさと引き返していった。


「ぇぇぇ…」


いや…敵対する気は無いんだけどもね?

もっとこう…何なん?あの娘。


「あぁ…まぁ、悪いようにはならねぇよ。行こうぜ?」


どうしたら…?と戸惑っているのがわかったのか、ごつい兄さんが声をかけてきた。

先程までは警戒していたのに後ろの姉さんもだが、もうそんな素振りは無い。

あの金髪はそこまで信頼されてるんだろうか?

よくわからないけど、穏便に行きそうだし、これは当たりかもしれんね。



付いていった先は屋敷の金髪の部屋だった。

妙にうろうろ遠回りしていたからどこに行くんだろう?と思っていたが、外の兵はもちろん、中の使用人とも会わなかったし、もしかしたら避けていたんだろうか?

凄いな!この娘。


「それで、お前孤児院の子供ね?どこの街から来たの?」


部屋に入るなり聞かれたことはそれだった。

何もない所に隠れていたり、変な玉に乗って浮いていたりと、怪しい所はあると思うんだけど…。

まぁ、いいか。

気を取り直し説明をしよう。


説明といってもそんなに大したことはない。

名前に年齢、【隠れ家】で教会の馬車に潜みここまでやって来た。

それだけだ。


そういえば街の名前もだが、この国の名前も知らなかった。

自分の住んでる街とかわざわざ名前で呼ばないから無理もない。


国の名前はメサリア王国で、この領地はゼルキス領で、領都は同じくゼルキス。

そして俺の育った街は、多分だが位置的にルトルの街だとか。


「加護持ちね…。ならお前の聖貨は当たりだったのね。それでお前、これからどうするの?」


一通り聞いて納得したのだろうか、今後のことを聞いてきた。

いつまでも庭に潜まれても困るだろうし、もっともなことだ。


「冒険者をやろうと思ってます」


それか泥棒だな…。

加護持ちや聖貨の当たりってのは気になるが、まずはちゃんと答えよう。


「無理ね。あれは14歳からよ」


なんですとっ⁉

あれ?もう泥棒ライフ確定なのか?俺。


「ところで、丁度お前がこの街に来たのと同じころに、教会で騒動があったの。不思議よね?あいつら普段は私たちと距離を取っているのに、衛兵にまで協力を願ってきたわ。何があったのかしらね?」


愕然としている俺を無視して話を続けてくる。

内容は…まぁ、うん。

俺が原因のだな。

そして思った通り教会とは仲が悪いらしい。


あはは…と言葉を濁していると続けてきた。


「何があったかは想像がつくわ。お前でしょう?それで?何枚盗って、後何枚残っているのかしら?」


このねーちゃん鋭いわ、バレてる。


「全部で38枚です。残りは8枚」


「そう。やはり当たりは無かったのね。それと、その似合わないしゃべり方はやめなさい」


あぁ、それは助かる。

偉い人相手の口の利き方とか教わってないからよくわからないんだよね。

ほっとしていると、間髪入れず続けてきた。


「残りの8枚、よこしなさい。そうしたら悪いようにはしないであげるわ」


とんでもねーこと言ってきたぞこのねーちゃん…。


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― 新着の感想 ―
[一言] 改めて読み直すと、セリア様は敵意の有無の他にセラさんが逃走に際して発揮した計画能力とか孤児なりに敬語を使おうとした教養とか聖貨の枚数をパッと出してくる計算能力とかも評価してたのかな。
[一言] よくよく考えるとセラさんの戸籍のお値段一般的な聖貨買い取り額換算で金貨120枚、4年くらい遊んで?暮らせる程度の金額。 色々考えるとかなりお安い方だよな。
[気になる点] 夜とはいえ不特定多数が存在する町で特別な目的もなく手の内である飛行能力を使用し、魔法に対する理解もない状態で弓の射程内の高度から城壁を飛び越え、緊急案件も無いのに領主館の庭で意味不明の…
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