1180
「たぁっ!!」
掛け声とともに、【影の剣】を発動した右腕を、男の左腕目掛けて思い切り振り抜いた。
「なあっ!?」
そこそこ腕の立つ者が相手だし、もしかしたら耐えられるのかもな……とか考えていたんだが……鎧を身に着けていないし不意を突きもしたから、一切抵抗なくスパっと行ってしまった。
少々驚いて、ついつい宙を舞う腕を眼で追っていたんだが。
「くそっ……!!」
俺が動きを止めている間に男は右手に持っていた剣を捨てると、代わりに自分の左腕をキャッチして。
「……あっ!?」
倉庫の隅へと放り投げていた。
俺たちの最優先が【ダンレムの糸】で、それをとにかく取られまいとしたんだろう。
いやはや、片腕を切られた直後にも拘らず、冷静な判断じゃないか。
……っと、感心するのは後にしてだ。
「ほっ!」
尻尾を発動すると、そのまま男の頭部目がけ殴りつけた。
「ぐおっ!?」
男は一発目は躱すことに成功したが、それをさらに二発三発……と続けていくと、片腕……それも素手ではまともに受けることも出来ずに、徐々に食らい始めていき……。
「セリア様!」
ようやく決定的な隙が出来たところでセリアーナの名を叫ぶと、セリアーナは【浮き玉】を操作して、男の懐まで一気に入り込んだ。
そして、残った右腕目がけて蹴りを放った。
悲鳴すら上げることが出来ずに吹っ飛んでいく男。
倉庫の入口のドアにぶつかると、そのまま動かなくなってしまった。
恐らく胴体や頭部を蹴っていたら、この男に止めを刺せていたんだろうけれど、それは少々気が咎める……。
左腕に加えて、右腕も千切れてこそいないがグチャっといった感触があったし、十分だろう。
この男はもうこれ以上は何も出来ないだろうし切り替えよう!
さて、気持ちを切り替えて次はどう動くのか……と、気合いを入れ直して顔を上げたのだが、【浮き玉】の操作を行っているセリアーナは、少々厳しい顔をしていた。
「……くっ!? 遅れてしまったわね」
何に? と思ったが、彼女の視線を追うとすぐに理由がわかった。
「腕、取られちゃったね」
先程まで俺の魔法で視界を潰されて、まともに動くことが出来なさそうだった5人だが、どうやらもう視界は戻ってきたらしい。
1人が先程倉庫の隅に飛んで行った腕を拾い上げると、握られた拳に何かゴソゴソとしている。
【ダンレムの糸】を確保しているんだろう。
倉庫内の賊を1人減らすことは出来たが、【ダンレムの糸】がまだ向こうの手にあるのは……ちょっと面倒かな?
「……ええ。まあ、いいわ。予定通り残り5人の足止めをするわよ」
まだクールタイムの10分は経っていないはずだが、もうそろそろのはずだ。
そうなったら、いつでも発射することは出来るだろう。
いくらなんでも、こんな風に刺客めいた使われ方をしているのに、扱える者があの男1人だけってことは無いよな?
動き回る俺たちを相手に直撃は難しいだろうが、嫌がらせは簡単に出来るだろうし、何より他の場所を狙われでもしたらえらいことだ。
セリアーナもそうなったら無視は出来ないし、そうならないためにも、上手いこと連中を牽制し続けておかないといけない。
「了解!」
俺は気合いを入れ直して、セリアーナに返事をした。
◇
賊の5人はバラけつつも、俺たちを包囲するように動いている。
バラバラに外に逃げたりするんなら、速度や突進力は俺たちの方が遥かに上だし、むしろ楽だったりもするんだが、こういう風にまともに向き合われると地味に面倒だったりする。
「よいしょっ!」
セリアーナが突っ込み、俺が中距離からリーチを活かした尻尾の攻撃を仕掛ける。
賊はその尻尾を、受けたり躱したり弾いたり……色々な方法で凌いでいるが、直撃はさせられないもののとりあえず足止めにはなっている。
「ぬーん……足止めにはなってるかもしれないけれど、仕留めきれないのがいまいちスッキリしないね……」
「フ……アレをここに縫い留められているだけでも十分でしょう」
俺のボヤキに、セリアーナは正面にいる【ダンレムの糸】を拾い上げた男を指して、小さく笑った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




