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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
5章・王都で色々ザックザク
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「よく来たわね」


冬の1月の初週。


王都生活もあと1月ちょっとというそんな時に、ジグハルトからセリアーナに面会の申し出があった。

用件は聖像の使用願いだ。


10枚揃ってから何か月も経っているのに、あのおっさんまだガチャを回してなかったらしい。


「……どうしたのその服?」


フィオーラを伴いやって来たのだが、服装が……。

以前やって来た時は、所謂礼装だったが、今回は儀礼用の恰好だ。

ジャラジャラしている。

フィオーラはフィオーラで派手といえばそうなんだが、こっちはいつも通りだ。


「当然だろう?」


……何が?


そう思いフィオーラに目をやると、ため息交じりに説明を始めた。


「この人、どうしてもこの恰好にするんだって聞かなかったのよ。今まで間が空いたのもそれを仕立てていたからだし……ごめんなさいね?」


「当然だ。聖貨を使う神聖な儀式には、それに相応しい服装で臨まなければならない。わかるだろう?」


「わかんねーよ?」


拗らせちゃったのかな?


「……まあいいわ。セラ、聖像を持って来て頂戴」


セリアーナも若干引いているようだ。


「はーい」


寝室に向かい、そこから【隠れ家】に入り、中に飾ってある聖像を持ち出す。

用件はわかっているんだし、出しておけばいいのにと思うが、わざわざ持ってくるという動作を挟む方が、有難味が増すらしい。


アホなことを……と思っていたが、ジグハルトを見ると満更でもなさそうだし、これでよかったんだろう。


「では、始める」


そう言うと、机の上に置いた聖像に向かい、跪くジグハルト。

聖貨を両手で握りしめ何やら呟きながら祈りを捧げている。


アレクは何か通じるものがあるのか、真剣な顔でジグハルトを見つめ、他3人はやや引いている。

俺……この後やろうと思ってたんだけど、どうしよう。


「お?」


祈りを終えたのかいよいよ捧げるようだ。

頭を下げたまま両手を聖像に向けて伸ばした。


……すっごい真剣だ。


光りに包まれ手から聖貨が消えた。

きっと頭の中でドラムロールが鳴り響いているんだろうが……長い。


「んああああっ⁉」


1分程捧げた体勢で固まっていたと思ったら、突如悲鳴なのか何なのかわからないが、叫び声を上げた。


まぁ……外れだったんだろう。

がっくり項垂れているし。


そのまま見つめていると、項垂れるジグハルトの頭上にロープの様な物が現れ、そして頭の上に落ちた。


「何なの?」


素材なんだろうけど、ロープ?


「魔糸ね。布に決まった模様を刺繍することで効果を持たすことが出来るわ」


まだ動かないジグハルトの代わりに、彼の頭の上から取り上げたフィオーラが説明した。


「ゼルキスの私の部屋のカーテンを覚えているかしら?あれは魔糸で刺繍し耐火の効果を持たせてあるわ」


次いでセリアーナも。


「へー」


領都の彼女の部屋を思い出すと、カーテン一面に刺繍がされていた。

そういえばこの部屋のカーテンには裾に植物が刺繍されているだけで、そのようなものは無い。

只のデザインなのかと思っていたが、意味があったのか。


それはそれとしてだ。


「ジグさん、大丈夫?」


微動だにしない。


まぁ、確かこれが初めてだったんだろうし、あんなに気合入れていたのにこれじゃあねぇ……。


「いつまでも項垂れていないで立ちなさい」


呼びかけても反応なかったが、業を煮やしたのかフィオーラが襟を引っ張り立ち上がらせた。


……強い。


「セラ、お前もやるんでしょう?やってしまいなさい」


「うん」


しかし、アレの後か……何かやり辛いな。


やるけども。


「むむむむむ……」


いつも気合だけなら充分な自信があるが作法は無視していたから、今回はジグハルトを倣って厳かにやってみた。


頭を下げているから見えはしないが、手から聖貨が消えた事がわかる。


そして脳内に鳴り響くドラムロール。


さあ!

今度こそ飛び道具!

俺に遠距離攻撃手段を!


「ふんっ!」


気合を込めストップさせ、頭に浮かぶ言葉に集中する。


【猛き角笛】


……お……音波兵器とか?

セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】・9枚

セリアーナ・【範囲識別】・【】・30枚

エレナ・【】・【緑の牙】・2枚

アレク・【】・【赤の盾】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 豪運だけどそれが当たり前になっている主人公には理解できないんだろうな 例えば【隠れ家】だけでも、どん底だった人生が一変したからなぁ
[良い点] この前見つけて一気読みしました。面白かったです! 主人公が徐々~に強くなっていくとこが好きです。
[一言] あ、これセラのアイテムを見て悶絶するやつだ 合掌
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