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階段を上ると、すぐそこには甲板に出るドアがある。
その前まで行くと、念のため一旦天井に張り付いて安全を確保してから、アカメたち3体を表に出した。
まずはこのままで外の様子を探ってみるが……なんか静かなんだよな。
そして、壁越しにではあるが目で見てみてもよくわからない。
一応、まだそこはかとなく戦いが続いているような雰囲気は感じるんだが……。
仕方が無い。
「こっそーり……とね?」
ヘビたちにドアの隙間から外に体を出させて、確認をすることにした。
「さてさてさて……どーなってるのかな?」
俺が上ってきた階段に繋がるドアがあるのは、甲板の中央に位置していてさらに船首側を向いている。
そのため見える範囲はある程度限られているが、それでも船の色んな位置から賊は乗り込んでいるそうだし、なにより魔道具を使ったりと、結構派手な戦闘が行われていたと思うんだよな……?
それなら、この限られた視界の範囲内でも戦闘の痕跡を見つける事は出来るはずだ。
……はずなんだが。
「なんもなくね?」
痕跡どころかここからでは誰も見つけることが出来ない。
折角前部は空けているのに、そこでは戦わずに狭い側面だったり後部甲板だったりにいるんだろう。
「とりあえず、こっち側は安全っぽいし……出るかっ!」
気合いを入れ直した俺は尻尾を発動すると、その尻尾でドアを開けて、外へと出た。
「うむ。誰もおらんね。音もしないし……あ、でも何か戦闘の跡は残ってるかも!」
外に出て自分の目で改めて周囲を見回してみると、所々にわずかにだが飛び散った血痕が見えた。
さらに前の方の甲板に設置された手すりには、鉤縄のような物も見える。
賊はアレを引っかけて上って来たんだろう。
よくもまぁ……そんな無茶をするもんだ。
と、賊の無謀っぷりに感心をしていると、微かに何かを殴るような鈍い音と呻き声のような音が聞こえてきた。
「…………ん? 後ろか」
ウチの兵たちは基本的に戦闘中は無駄口を叩いたりしないし、あの声は賊のかな?
どうやら、ウチの方が優勢らしいな。
まぁ……それはわかっていたことだけれど……とりあえず、俺もそっちに行こう!
【浮き玉】の高度を上げて船室部分を飛び越えると、後部甲板へと向かうことにした。
◇
「おぉ……なるほど。今はあんな感じなのね」
コソコソと建物の陰に光って目立つ体を隠しながら、後部甲板を覗き見ると、一目で概ねの状況を理解することが出来た。
大きく二手に分かれていて、賊の数は……両方合わせて5人かな?
それぞれ後部の中央側と側面側の端に、取り囲むようにして賊を追い詰めている。
ちょっと賊の数が少ない気もするが、海に落としでもしたんだろう。
ご愁傷さまだ。
よく見ると、甲板のあちらこちらに、前部と違って派手な血痕が見えるし……戦況はこちらが圧倒的に優勢だ。
ちなみに、オーギュストは二手のどちらにも加わっていない。
少し下がった位置で、両方で何かが起きた時にすぐに援護に入れるようにしている。
「……あ、さっき治療した兵士がいる。元気だなー……」
毒を食らって治療を受けに来ていた兵士も元気に戦闘に参加しているし、さっきの3人以降は治療を受けに下がって来る者もいない。
魔道具は予想通りもう打ち止めなのかもしれないな。
これなら俺が何もしなくても、このまま押し切れそうだが……。
「団長、来たよ」
オーギュストなら俺が甲板に現れたことにも気づいているかもしれないが、余裕がある状況で、勝手な介入は駄目だよな。
ってことで、彼の後ろに下りて声をかけた。
「ありがたい。どちらでもいい、一撃を入れてくれ!」
迷いのない指示。
やっぱコイツ気付いていたな?
俺が下りてきたことで、賊も気付いたようだ。
構えに変化が見られた。
突っ込んでくるのか、あるいは守りを固めて、何かを仕掛ける隙を窺うつもりなのか……。
ともあれ、俺がやることは決まった。
「はいよ!」
オーギュストの言葉に返事をすると、【緋蜂の針】を発動して正面目掛けて突撃した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




