1126
出港してから今日で……10日目くらいかな?
あまりメリハリのない生活をしているから、いまいち今日が何日目なのかとかが曖昧に……いかんな。
何だかんだでこの船旅も、一昨日の冒険者たちが賊の毒を発症したことを除けば、特に問題は起きていない。
まぁ、その一点が大問題と言えばそうなんだが……。
うーむ……と唸りながら部屋の中を漂っていると、不意にセリアーナが声を上げた。
「セラ」
「うん?」
振り向くと、彼女の視線は壁に刺さっている。
リーゼルの部屋か廊下かあるいは……と俺もそちらを見ていると、部屋のドアを叩く音と共に、いつもの護衛の声が部屋に響いた。
「入りなさい」
セリアーナが許可を出すと、外の彼女はすぐにドアを開けて中に入って来た。
そして、足早にセリアーナの前へと。
表情こそいつも通りだけれど……わざわざ部屋に来る辺り、緊急事態かな?
俺はいそいそと、セリアーナの後ろに回り込んだ。
「失礼します。急ぎ報告することが出来ました」
「ええ。構わないわ。話しなさい」
「はっ。リアーナの兵の1人に、軽くはありますが私共の仲間と似た症状が出ました。恐らく港での戦闘の影響かと思われます」
「あらま」
昨日の今日ではあるが、やっぱりウチの兵にも出ちゃったか。
ただ、どうやら症状は軽いらしい。
発症したのも1人だけらしいし……魔力量の差かな……と、ウチの兵のことを考えている俺を他所に、セリアーナは彼女に向かってさらに続きを促している。
立て続けに体調不良者が出ているが、幸い船員たちに混乱は見えないらしい。
港での戦闘を見ているし、中々タフな連中らしいしな。
他所の船だったらわからなかったが、この船は大丈夫だろう。
ふむふむ……と、頷きながら聞いていた。
◇
「貴女のところの他の3人はどうなの?」
さて、話は進んで行き、一通り聞き終えてそろそろ終わるというところで、セリアーナは彼女に他の仲間たちの体調はどうかを訊ねた。
発症してから3日目だったかな?
「……は? はっ。多少は動けるようにはなりましたが、まだまだ全快には程遠く、仮に襲撃を受けたとしても戦闘に参加するのは難しいと思います」
セリアーナが護衛の体調を気にかけているのが意外だったのか、彼女は一瞬だけキョトンとしたような表情を見せたが、すぐに引き締めるとそう答えた。
「そう……悪化していないのならそれでいいわ。他にはまだ何かあるかしら?」
「今は何も起きていません。甲板にはオーギュスト団長自ら立っています。何か異常があればすぐにでも報告に来るはずです」
「結構。ご苦労だったわね。行っていいわ」
セリアーナの言葉に彼女は短く答えると、部屋を出て行った。
何となく彼女が出て行ったドアを見続けること数十秒。
セリアーナもそちらを見て黙り込んだままだったが、もういいだろうとセリアーナの前に回り込むと、彼女の顔を覗き込んだ。
「話聞いて、何かわかった?」
「とりあえず、船内に体調を崩している者たちがいるという事だけは伝わっているようね」
「うん、そう言ってたね。……漏れたりするのかな?」
「ウチの兵が倒れたのは今日からだし、さほど重くは無いようだけれど、そのままだと体を動かすような作業には参加させられないわね」
「……まぁ、そうだね」
作業とか言っているが、要は戦闘のことだな。
陸地で大したことの無い魔物とかが相手なら、多少の不調は無視してでも参加させて問題無いだろうけれど、不慣れな海の上だ。
無理は禁物だろう。
「【祈り】を試しとく?」
セリアーナたち曰く、【祈り】は効くかはわからないが、少なくとも悪くはならないだろうってことだし、早いうちに治療を試しておいた方がいい気がするが……。
「……いえ、まだいいわ。夜まで待ちましょう」
「はーい。……大丈夫かな? 色々と」
まだまだ不調の冒険者に、新たに加わったウチの兵士。
賊側にその情報が伝わらなくても、先に襲って来た連中と連携していたのだとしたら、効果がどれくらい続くかってのが把握出来ているかもしれないし、そろそろ危うい気がするんだよな。
だが、気になってそう口にした俺に対して、セリアーナは余裕があるような態度で笑っていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




