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【隠れ家】でのセリアーナとの会話はすぐに終わり、また部屋へと戻ってきた。
わざわざ移動をした割に話したことと言えば、何か気にはなるけれどはっきりはしない……ってことだった。
まぁ、何かあるかもしれないってことを事前にわかっていたら、いざそれが起きた際にはそこまで焦らずに対処出来るだろうけれど……なんだかんだで、ずっと何か起きるかもって心構えだけは出来ているもんな。
実際色々起きているし、気にかけておいて損をするってことは無いだろう。
さて。
それはそれで気を付けておくとして、部屋に戻ってきたはいいが、どうやらまだ船は出発していない様子だ。
そんなに長く【隠れ家】にいたつもりは無いんだけれど……何かに手間取ってでもいるのかな?
「まだ出発しないのかな? もう戦闘が終わってから時間は結構経ってると思うんだけど……」
ベッドの側からだと大して見えやしないが、何となく窓の方を見ながらそう呟くと、セリアーナが「少し待ちなさい」と後ろから声をかけてきた。
振り向くと、腕を組んで目を閉じているセリアーナの姿がある。
加護の索敵範囲を広げるために集中しているんだろうな。
「どう?」
数十秒ほど経ったところで、何かわかったかを訊ねてみた。
少々時間が短すぎる気がしなくもないが……ただ単に船が来ているかどうかを見るだけだし、そこまで気にしなくてもいいよな?
ともあれ、セリアーナの言葉を待っていると「ああ……」と呟いて目を開けた。
「……わかったわ。少し離れた場所に迎えの船が停まっているわね。数人が移動しているし……直接船につけるのではなくて、小船で運んでいるわ。だから時間がかかっているのね」
「あぁ……なるほど。大きな船同士をくっつけて、それで事故が起きても大変だもんね」
俺の言葉に、セリアーナも頷いている。
無風の湖とかならいいかもしれないが、ここは流れがある川だ。
いくら錨を下ろしているからって、静止することは出来ないし、距離を空けているんだろう。
考えたらもっともなことだ。
「それじゃー、もう少しかかるのかな?」
救助されたのが何人なのかはわからないが、少なくとも何往復かはするだろうし、出発まではもう少しかかりそうだよな。
「そのはずよ。まあ……今の時点で何も問題は起きていないようだし、出発は時間の問題ね。部屋には来なくていいと伝えてあるから出発の報せも来ないだろうし……セラ」
「ほいほい」
「もう一度奥へ行きましょう。汚れを落としたいわ」
「ぬ?」
この部屋にも風呂は備え付けられているが……今日は色々あったし、流石に今から入浴の準備をするのは面倒だもんな。
【隠れ家】の方ならすぐに風呂の準備は出来るし、部屋に人が来ないんならそっちでいいだろう。
「りょーかい。それじゃー……よいしょっと」
俺は返事をすると、壁際に移動して【隠れ家】を発動した。
◇
「んぐ?」
と、声を上げて目を覚ました。
昨晩は風呂から出た後は、一直線にベッドに入ったんだ。
そこから先のことは記憶にないし、恐らく即寝入ってしまったんだろう。
まぁ……風呂に入ったことで疲れが出たんだろうな。
俺は寝相はいいつもりなんだが、いつの間にやら大の字になって寝ていたらしい。
だが、手足には布団の感触しかないし、セリアーナは既に起きているっぽいな。
どこにいるのかなーと、ベッドの上に寝転がったまま頭だけを動かしていると……。
「起きたのかしら?」
セリアーナの声が聞こえてくるが、どうにも遠いところからの気がする。
それほど大きな声や音を出していたつもりは無いんだが……彼女の耳にも届いてしまったようだ。
彼女がいるのは、一つ隣のスペースだな。
「起きたよー」
とりあえず、起きたことを伝えるために体を起こして、俺は隣に向かって声を出す。
一応この部屋は各スペースごとにパーテーションで区切ることが出来るんだが、俺たち以外は入ってこないという事もあって、部屋の隅に置かれたままになっている。
お陰で正面のソファーに座っているセリアーナの姿が目に入った。
「結構。こちらに来なさい」
「はーい」
自分のもとに来るよう言ってきたセリアーナに返事をすると、俺はベッドを降りて【浮き玉】に乗っかると、浮き上がり移動を始めた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




