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「おや?」
出港して間もなく、何やら部屋の前の廊下をバタバタと誰かが走ってきたのがわかった。
念のためヘビたちの目を発動していたが、余程急ぎのことなのか、それ抜きでもわかるくらいだ。
お目当ては俺たちの部屋ではなくて、向かいのリーゼルの部屋のようだけれど……急ぎの報告かなにかだろうか?
俺たちの部屋がある一画は、いわばVIPエリアだ。
余程のことでもない限り、こちら側に来る際に走ったりなんかしないだろう。
今のタイミングで起きるようなことと言えば……。
ベッドに転がりながら、気配がした廊下の方を見ていると、ベッド脇の椅子に座り、本を読んでいたセリアーナが口を開いた。
「上流で事故が起きたようね」
「あ、やっぱり?」
何かあったんだとしたらそれくらいだよな。
しかし……。
「本当に事故起きちゃったんだね。セリア様は見えてるの?」
セリアーナは、事態をある程度把握しているような態度でいる。
ってことは、彼女の加護の範囲内でも何かが起きているんだろう。
今の彼女の範囲がどれくらいの広さにしているのかはわからないが、読書をする余裕もあるようだし、そこまで離れていない場所のはずだ。
まぁ……港を離れてまだ間もないし、そりゃそうか。
「ええ。私たちからそう離れていない、上流の川中辺りで船同士が接触しているようね。10人ほどが転覆した船にしがみついているようね。一塊になって、下流に流れてきているわ」
「なるほどなー」
「【琥珀の盾】と【妖精の瞳】を使うわ」
「うん」
さらに詳しく調べるつもりなんだろう。
セリアーナは【妖精の瞳】を発動して、目を閉じた。
それじゃー……俺は。
「よいしょ」
体を起こすと【浮き玉】に乗って浮かび上がった。
そして、窓の外に目をやるが……暗くてわからんね。
万が一の外からの襲撃に備えて、外の様子の変化に気を付けようと思ったが、これは無理だな。
仕方が無い。
「ほっ」
俺は【祈り】を発動すると、セリアーナの側に移動した。
とりあえず、これなら何が起きても対処出来るし、このまま次の変化に備えておくか。
◇
「セラ」
「ぬ? どしたの?」
セリアーナが本格的な周囲の索敵に入って数分。
ふと俺の名を口にした。
変わらず目を閉じたままだし、まだ索敵は続けているようだけれど、何かあったのかな?
「護衛がもう来るから、お前が話を聞いておいて頂戴」
「護衛……? 了解」
彼女たちは今はオーギュストの指揮下に入っているが、一応セリアーナの護衛として雇われているし、こちらにやって来たんだろう。
俺はセリアーナに返事をすると、ドアへと向かうことにした。
そして、ドアの前に到着する丁度そのタイミングで、コンコンとドアがノックされた。
ドアの向こうにいるのは2人か。
「はいはい」
ガチャっとドアを開けると、通路にはリーダーともう1人が立っていた。
ダラけていた俺と違って彼女たちはまだまだ任務中で、しっかりと剣を帯びて鎧を着こんでいる。
彼女たちも、まだ何かある可能性を聞かされていたんだろう。
ご苦労様だよ。
と、心の中で頭を下げつつ「どうしたの?」と訊ねた。
「はっ。つい先程、船の後方で船同士の接触する事故がありました。被害の詳細はまだわかりませんが、この混乱を利用した賊による襲撃の可能性もあります。我々はオーギュスト団長からセリアーナ様の護衛につくようにといわれて、こちらに参りました」
「ほぅほぅ……」
まぁ、まだ事故が起きたばかりだし、どんな状況かなんてわからないよな。
しかし、どう返事をしたものか……単純に俺が動きやすいってことだけを考えたら他者の目が無い方がいいけれど、ハプニングに備えるなら、護衛経験が豊富な彼女たちが一緒の方が頼もしいってのは間違いない。
チラッと部屋の奥にいるセリアーナに視線を向けると、今の話し声が聞こえていたのかこちらに向かって手招きをしている。
「ちょっと待ってね」
「はっ」
俺は彼女たちに一言断ると、セリアーナのもとに戻ることにした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




