1058
【浮き玉】を加速させて、風の防御力に物を言わせて突っ込み続ける事、10分ほど。
【緋蜂の針】を発動した右足を前方に突き出したり、あるいはそのまま後ろに下げていたり、あるいは残った左足で【浮き玉】に立ち上がって、リーチを確保した体勢だったり、俺は連中の隙を探して色々試していたんだが……。
今のままでは、どうにも切り崩せそうにない。
もちろん、俺だってやられるような事は無いんだが、互いに決め手を欠いてしまっている。
いくらでも時間をかけていいのなら、俺は疲労とは無縁だし、相手がへばるまで続けるってのも有りなんだろうが……流石に今の状況でそれは難しいだろう。
「ふぅ」
何度目かの突撃が不発に終わった俺は、屋根の縁近くに戻って来て一息ついた。
チラッと下の様子を見てみると、動いている賊連中の数が数人減っているのが分かった。
オーギュストがセリアーナの護衛のために戦線から離れてはいるが、中々順調らしいな。
リーゼルたちの方は、屋根上の賊を引き付ける役がいないからか、こちらよりはペースが遅いけれど……それでも被害はゼロだし、上手く戦っているんだろう。
とりあえず、俺は目の前の4人に集中してよさそうだ。
さて、その肝心な4人はと言うと……。
「しぶといな。どうする、セリアーナを先にやるか?」
「……いや、先にセラだ。コイツを放置するのは危険すぎるだろう」
ふむふむ?
「お前たちも下の状況は気付いているだろう? 俺たちの援護が無いとセリアーナどころじゃない」
「時間を稼ぐだけでも意味はあるが……確実とは言えないしな。向こうの連中も攻めあぐねている様だし、俺たち次第だ」
「そうだな……。街の兵も動くかもしれないし、さっさとやってしまおう」
……ほぅほぅ?
【祈り】で少しだが強化された俺の聴覚を甘く見ているのか、声を潜めてはいるが、何やら意味深な会話を繰り広げている。
とりあえず、こいつらの狙いはセリアーナで間違い無いようだが、それよりも……だ。
時間を稼ぐだけでも意味があるとか言っているし、やはり増援でも待っているんだろうか?
王都からの道中では、リセリア家の問題にするためにも他所の兵をあてにする事は出来なかったんだが、屋敷での一件を考えたら、この街の問題って事と絡めて大いに街の兵もあてにしてよさそうな気はする。
するが……時間を稼いだ方が良いのならそう言われるし、それを言われなかったって事は、やっぱりさっさと片付けた方が良いって事だろうな。
相手もいい具合に俺の力を低く見てくれているようだし、そろそろ一気に決めてやろう!
◇
今の俺が身に着けている恩恵品は、【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【紫の羽】【猿の腕】……いっぱいだ。
ともあれ、【ダンレムの糸】と【紫の羽】はこの場で使うには少々問題があるし、除外するとして……【琥珀の剣】もこの場では向いていないだろう。
なら、尻尾と腕だな。
よし!
「ふっ!」
方針を決めると、俺は4人の真ん中目がけて突っ込むことにした。
「来たぞ!」
「また端から……違うっ! 突っ込んでくるぞ!」
俺はこれまで4人のうちの端にいるどちらかを狙って突っ込んで、そして、賊が構えた武器に【風の衣】が触れる前に離脱をする……そんな行動を繰り返していた。
だからこそ、今回もそう動くと思っていたんだろうが、イレギュラーな俺の動きに少々動きに乱れが生じていた。
何となくそんな気はしていたが、実際にやり合ってわかった。
こいつらは結構腕が立つんだよ。
恐らく、無理矢理仕掛けても普通に対処されていそうだし、倒すにはよほどうまくやる必要があったんだが、中々そう上手くはいかず、不意打ちで倒した最初の1人目以降はどうにも出来ずに、ズルズル時間を使ってしまっていた。
だが、それも一先ずここまで。
「せーのっ! ……よいしょ!!」
俺は4人の真ん中に突っ込んだところで、【浮き玉】を独楽のように回転させ始めた。
「なっ!?」
驚き声を上げる賊たち。
そりゃー、目の前で急にこんな事をしだしたら驚くよな。
でも、これで終わりじゃないぞ?
ここからだ!
回転の勢いはそのままで、俺は【蛇の尾】を発動した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




