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08 追手
「見つけたぞっ!」
「捕まえろっ!」
私を捕まえようとしている人達が大勢でおしよせてくる。
私は、その場から逃げようとしたけど、バルドに腕を掴まれた。
「何をやってるの! 早くここから離れなくちゃ!」
「俺がお前を守ってやると言っただろっただろ。今までは調子が出なかったから、逃げるしかなかったが、もう力を使っても平気だな」
「えっ」
バルドの目が光ったかと思うと、辺り一帯が火の海になっていた。
燃え盛る炎が、追っ手の足をとどめている。
炎はどんどんおおきくなっていっているようだった。
「良いザマだ。この泣き虫女に手を出した罰だ。このまま燃え尽きちまえ!」
「やめてバルド!」
「何で止めるんだ。お前はあいつらが嫌いなんだろ」
「そうかもしれないけど、でも人を殺しちゃだめよ。それじゃ、本当の犯罪者になっちゃう」
「はっ、お優しいんだな」
不満そうなバルドは、それでも力を使うのをやめてくれたらしい。
腰が抜けている追手たちを背にして、私達はその場から逃げ出した。