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07 詳しい事情
「この時代の事、詳しいのね。封印されてたなんて嘘みたい」
「封印されてたとしても、意識まで束縛できるわけじゃない。肉体は機能停止してても、魂は自由に辺りを移動できたからな」
それは、霊魂的なものなのだろうか。
召喚獣の魂が動き回っている姿と言われても、イメージできない。
「だから、そんなに迷わず道を歩けるの?」
堂々としたバルドの様子が羨ましく思えた。
あんな風になれたら、と少し憧れてしまう。
でも、同時に嫉妬もある。
この人に私の苦しみは分からない。
召喚獣だから、家族も友達もいないから。
そんな内心も知らずに、彼は歩き続けている。
「この辺はよく通ったな」
先程から私を導いていて、足を止める事が無いバルド。
彼は今、何を考えているのだろうか
頼れるけれど、憎らしくもある。誰一人として味方になってくれる人はいなかったのに、彼の存在にどこか安心している自分がいた。
人ではなく、召喚獣なのに。
「気を抜くのは早い。追手がくるぞ」
「えっ」
しかし、二人でのんびり話していられるのもここまでだった。