06 バルド
彼の名前はバルドというらしい。
召喚獣だと言った彼は、長い間遺跡に封印されていたのだが、私に呼び出されて自由になったという。
「召喚獣なんて聞いた事が無いけど」
「召喚獣は古代に人によって使役されていた存在だ。今の時代で、禁術使いが何で敵視されているのか分かるか?」
私は首をふる。
「昔大きな戦争があった時に、協力すぎる召喚獣が暴れたせいで、国がいくつか滅んだ。人も絶滅しかけたらしい。だが、残された資料が断片的だったせいで。事情が後の世にうまくつたわらなかった。召喚獣は危険な物だと認識されたんだろ」
「そうだったの。じゃあ、禁術使いが危険視されてるのって」
「ああ、強力な力を行使できる召喚獣を操る事ができるからだ」
「そんなっ、私は危ない事をしたりしないわ」
「だろうな」
私を導く様に前を歩いていた彼が立ち止まって、「目が真っ赤になるほど、涙を流す泣き虫だからな」こちらにからかいの言葉をなげてくる。
その言葉に私は言い返せない。
「だが、他の人間にとってはそうじゃない。あんたはよく知らないやつの人間性が一目でわかるのか」
「それは」
「そういう事だ」
「でも、友達や家族なら」
「お前を見捨てたりしない? 現に見捨てられてんだろ。薄情な奴等だな。血のつながりがあったところで、他人をちゃんと見てる奴なんて誰もいないんだよ」