始まりの唄
一年ぶりくらいですかね?
なな魔女読者の皆さん、お久しぶりです
今回の作品、のの魔女は私の中で煮詰めてきたなな魔女がのの魔女になります
まぁ、いつも通りのんびりやるつもりですので、肩の力を抜いてのんびり読んでください
この日記は、私がまた何かを忘れてしまったときのためにつける。記憶を失った私と、師匠との旅の思い出を。
僕は、その日は錬金術に使うための薬草やキノコを取りに森へ行っていた。
「うーん……やっぱり、少し質が落ちてるし、量も少ないなぁ……いっその事これからは自分で栽培を……いや、そっちもそっちでめんどくさいことになりそうだし……」
そんなことを考えながら歩いていると、森の奥の少し開けた所に一人の少女が倒れ込んでいた。近くに魔物はいないようだがこのまま放っておくのも……。
「はぁ……仕方ないか……」
私は彼女の元に駆け寄ると、状態を確認する。目立つ傷は右足に打撲痕と脇腹に浅い切り傷、擦り傷くらいだった。打撲痕と擦り傷の方は逃げる途中で出来たようだが、切り傷の方は刃物で切り付けらたようなものが付いていた。
「この傷跡となると山賊か猟奇的な変人か。とにかく、そいつが来る前に早く安全なところまで運ばないと」
と、僕が少女を連れていこうとした瞬間、茂みが揺れる音とともに複数の男の声が聞こえてくる。まぁ、間違いなく同じヤツらだろう。
「なんでこうタイミングが悪いのかなぁ……これが最近よく聞く『ふらぐ』ってやつ?」
僕は大きくため息をつくと、懐から短剣を取り出す。少しだけ切れ味のいい普通の短剣だがないよりはマシだろう。
「おっ、いたいた。さっきの女と……おい!もう一人いるぞ!」
「丁度いいじゃねぇか。お嬢ちゃん、おじさんたちと一緒に来ない?そんな物騒なもんの代わりになんでも好きなものあげるよ」
「おじさんたち僕のタイプじゃないから早く帰ってくれないかな」
「……気絶させて二人とも運べ。傷つけたら売りもんにならねぇから慎重にな」
剣を構えた山賊が襲ってくる。考え方が野蛮なら動きも野蛮。宮廷剣術とは程遠い動きだった。
「残念、その程度じゃ私は死なないよ」
私はそう呟き、短剣を閃かせた。最小の動きでその場にいた全員の息の根を止める。この程度なのか。
「さて……この死体どうしようかなぁ」
「うぅ……ここは……?」
私が目を覚ますと、そこにはだぼだぼの服を着た幼い少女が座っていた。身を起そうとしたが頭に強烈な痛みを感じ、起きるのをやめてしまう。
「あぁ、起きたみたいだね。君、頭をぶつけていたみたいだからしばらくはそのままにしておくといいよ」
「あ、あなたは……だれ?」
「私?私はローリス、なんてことはないただの旅する魔女だよ。君の名前も教えてくれるかな」
「はい、私は……あれ?私は……」
名前が思い出せない。思い出そうとすると頭の奥がズキズキと痛んで思い出すことを防いでくる。
「ごめんなさい……思い出せません……」
「そっか、思い出せないなら仕方ないよ……でも困ったな、そうしたら君のことをどうしたらいいか……」
ローリスさんは、少し思案するように黙り込んだ。考え事をしてくれている間に自分の情報を整理する。
名前はダメ、自分が住んでいたところも……何をしていたかも分からない。手詰まりだ。
「さて……君はこれからどうする?よければ近くの村まで送っていくことくらいはするけど」
「私は、魔女さんについていきたいです。あ、でも魔女さんがよければなんですけど……」
「はぁ……小鳥が初めて見たものを親だと思い込むのと同じ感じなのかな……まぁ、いいよ。これも何かの縁だろうし」
「君の記憶を思い出す旅に付き合ってあげる」
これが、私と師匠の出会いでした。
終わりは始まり、と言いますがあれ本当だと思います