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山奥ドライバー ―ping999―  作者: レオン
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エピソード31『奇跡』

「お疲れサマンサー!」



天に昇る途中のロケットカーに乗っているゆうたは、ライトニングから預かった「最強のマニュアル」の1ページ目を開いていた。





「なんだ.....これ.......」





一瞬思考が停止する。ライトニングに事情を聞こうとしてももう遅い、ロケットカーは長い長い地下を登りもうすぐ地上に到達する目前まで来ていた。




* * * * * *




「ンだこれよォ!!オイ!!!!!ゆうたーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


絶叫するけいちゃんの声は施設中を駆け巡り増幅し、ライトニングの耳に入る。


「アーーーーーーーーーーーーーッハッハハハハハハこりゃ傑作だなあ!!!!!!!ハハハハハハハハハハ!!!!!!」


我慢できなくなったのか今まで保っていたクールな表情を崩し狂気的に笑うライトニングは、別の生き物のように震え、身悶えし、笑った。


「僕があ、黒幕だとお、微塵も気づけない頭お花畑なクズどもにい、俺を憎む資格なんてねえええんだよぉおおおおお」


高笑いに飽きたのかスッと、無表情に戻ると、ライトニングは白衣をまくり腕時計を確認する。



「計画通りに爆発していれば、もうすぐJAJAが自壊してこの世界の終焉が始まるはず...」


つぶやきエレベーターが地上に到着したらしい、ドアを開けるとそこに影があった。


「?」


ライトニングが避けるよりも早く、正義の鉄槌は下された。



「ワシはこんな役ばっかじゃの。ホホ」


というと持っていた岩を放り投げ、人形のようにだらしなくジンの手に持ち上げられた体をビクリと震わせ、口を開けた。


「なぜ......貴様.......が........」



「ワシか?年季というものかの、リーとかいう奴からも、お主からもおんなじ匂いがプンプンしとる


ゲロ以下の匂いがの」



こめかみに青筋を立てたライトニングは抵抗し老人を殴ろうとするが、人がそれよりも早くライトニングの顔をパワーある拳が襲いかかる。



ゴギャ



という音が聞こえたかと思うとライトニングの体から力が完全に抜け、ジンが手を離すと動かなくなってしまった。



ちょうどその時、背後でリーンという音がなり、エレベーターで後を追った八夢とけいちゃんが到着する。


「ジジイ!!そいつは.....!!!」


「もう動かんよ、ワシがやった。」


「それよりもゆうたくんを!!!」


八夢が外に駆け出す。

二人が後を追うと、粉々の破片となったロケットカーの惨状を目の当たりにする。



「ゆうた.....!!!」



八夢はその場に崩れ、うめき声をあげていた。


「あれを見ろ...!!」


けいちゃんが空を指差すと、天空に浮かぶ核の切れ目が徐々に縮まっていくのがわかった。



「あのカプセルが閉じるとどうなるンだ?なぁ」


「そんなのわかるわけないじゃない!もう.....助からないのよ....」


うずくまってしまった八夢をよそに、勇気を出してけいちゃんがロケットカーの残骸を確認し始めた


「まだゆうたが生きてるかもしれねェ...俺は奇跡なんかに頼ってねェともうダメなんだよ、なぁ」



震えた声を押しつぶし、残骸をかき集めていく。


すると、残骸の中に"最強のマニュアル"ノートを発見した。



たまらなくライトニングの憎しみが溢れ出し、ゆうたとぼうぼを失った悲しみから耐えれなくなったけいちゃんは、最強のマニュアルを引きちぎろうとした――



――その時、奇跡は起こる。



爆発した地上数メートル上空になんとロケットカーが出現したのだ。



「ゆう....た.....?」



時は爆発前に遡る。




* * * * * *




「なんだ.....これ.......」


マニュアルにはそう書かれていた。


否、それ以外が書かれていなかった。



「爆発まで、残り60秒―」



「畜生......あいつにハメられたんだ....」


車内に警報音が鳴り響く。

無機質なアナウンスはこの終焉をすべて物語っていた。



「爆発まで、残り30秒―」



ゆうたが諦めたようにつぶやくと、ぼるぼが頭をなでてくる。


「ゆう...あきらめないで.....」


「爆発まで、残り10秒―」


いつもよりはっきりとした言葉でゆうたに語りかけると、願い事をするかのようなポーズをした。


ゆうたはそれを見つめ何かを察し、ゆうたも願う。


「爆発まで、残り5秒―」


どうか、どうか神様



4



ドライバ様、僕たちを



3




―――助けてください―――



2



突如、ぼうぼの体が緑色に発光し、まばゆい光で二人を包み込んでいく。




緑の閃光はやがて徐々に消えていくと、目の前には変わらずキレイな、ブルーの宇宙が眼前に広がっていた。


車内は静まり返り、先程まで警報がなっていたとは思えないほどの静寂が二人を安堵させた。


「ぼうぼ、平気か?」


「うん.....あっ.....」



ぼうぼの長袖から覗いていた可愛らしい手が少し輝いて見えた。が、それも一瞬のこと。


ゆうたが車窓から地上を見ると、涙ぐみながら復活を喜ぶけいちゃんと八夢の姿が見えた。



「ゆうたーーーーー!!」



そう聞こえたような気がする。そう、二人は奇跡を起こした。


ライトニングが爆破ボタンを使い切ったあとに、"爆破ボタンを押される前のロケットカー"という次元の自分たちを現世に呼び起こしたのだ。




今、僕たちは生きている。



この世界を救うため、過去を、取り戻すため。


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