エピソード28 『決意』
「まずはじめに言っておくとね、今は西暦2065年。華の21世紀―とは言えなかったね。この記事を呼んでごらん。」
と、そこには大見出しに『世界終末 核戦争勃発か』と書かれていた。日付は2040年。なんと自分が生きていたと思っていた偽りの記憶より実に22年経過していた。
「...世界恐慌でね。どの国も自分の国で手一杯だったらしい。そんな中、争いが起きてしまえばもはや奪い合い勝つことでしか存続の未来がなかったのさ。」
箱庭で生きていたから実感がわかない。この記事が本当ならばもう世界は...
「あぁ、君の思っている通り、もうこの世界は終わったなんて言っても過言ではないかもね。あの話の続きみたいだ、歴史は繰り返す―というが、終末までこれじゃ...疑いようもなくこの世界は終わることを僕は確信してるよ。」
「そんな...」
「そして同じように、この世界にはまだ『ドライバ』は存在する。」
全員がライトニングキャットの方を向く。全員顔に「マジ?」と書いてある。
「そんな顔をしなくても疑わないでほしいな.....話は見えてきたかい?」
「つまりよォ、そのドライバっつーもンさえ見つけちまえば、この世界やり直せるってことでいンだよなぁ?」
「けいちゃん、君の言うとおりさ。そしてドライバは見つける必要はもうないよ、この大会の目的は果たされたと言っても過言じゃない」
驚いた顔で八夢がゆうたのほうを見る。
「――まさか」
「そのまさか、だ。君も目の前で見ただろう、ゆうた君の異能を」
「俺そんな自覚ないんだけどなあ」
ポリポリと頭をかくゆうたに視線が集まり、あまり視線に慣れないゆうたは目をそらしてしまう
「期待されても困るよ...大体もうひとりのドライバが居なければ発動しないんじゃなかったか?」
「いやいや、もうひとりもここに、ほら」
とぼうぼの方に指をさす。
きょとんとした顔で頭上に「?」が浮かぶのが目に見えるようだ。信じがたかったが、ゆうたも何度か発動させてしまってるのも確かだった。
「君のラグ能力、いや、タイムリープに近いその能力はまさしく『ドライバ』の異能なんだ。
君があの日目覚めた時、もうひとりの『ドライバ』――"器"の復元とも言える彼女、ぼうぼ君を棺桶として君のトラックに積み込んだのは僕さ。」
「どうしてそんなことを、」
「そうでもしなきゃ君は死んでた。このゲーム中に上層部に殺されただろうよ。
このゲームはALICEの事実上のトップであり創始者、渡辺会長としては不都合なんだ。何故なら彼は何もしなくてももう完成したボルボ君と、クローンの中からもうひとりのドライバさえ見つかればよかったんだからね。
でも有村はそうはさせなかった。彼も能力に目がくらんだのか、彼はこのゲームを独断で開催し、ぼうぼ君を奪いおそらくは――」
「...殺されていた」
「そういうことになる。有村の目的はわからないが、やつが平和を願ってこの能力を使用するとは思えないんだ。
そして今頃有村は僕にカンカンだろうね。ここは僕の一人勝ちというとこかな♪」
フン!とドヤ顔を披露するライトニングキャット。
要するにこのゲームはドライバの片方をあぶり出すための舞台装置だったということになる。
そしてゆうたは自分がドライバであることを自覚しポツリと呟いた。
「やるしかない、のか」
それはこの世界を左右する一人の少年の新たな決断だった。




