エピソード18 『打倒、ガルシア』
「僕たちでガルシアを倒さないか?」
そう言って、リーはゆうたに手を差し出す。その行いこそ表面上では何でも無い動作だが、この男の心の裏まだは読み取れない。この動作さえも、あの人形と同じような不意打ちかもしれないのだ。
ゆうたは時間をかけ思考を開始した。まず、けいちゃんとは今は連絡も取れないがこのゲームが開始される以前から。つまりは"ただのゲーム"の時から仲間であったため、無条件の信頼ができた。
次に、八夢だ。彼女――否、彼は最初こそ僕たちを狙っていたのかもしれないが成り行きで仲間になっている。
八夢のことを考えればまた敵だと思っていた人間をあとから仲間にするパターンとして受け入れられるが、実際今目の前でぼうぼが蒸発したのだ。
しかし、ガルシアを倒すためにはリーの持つ爆弾しか有効な手段はそうないだろう。
あれに肉体をぶつけようが鉄のパイプをぶつけようがびくともしないだろう。
そう考えゆうたは差し出された手を恐る恐る握り返し、リーに仲間として受け入れることを承諾せざるを得ないのであった。
「あぁ、わかった。俺達の仲間にしよう」
※ ※ ※ ※ ※ ※
「僕の人形はすこし形を崩すだけで爆発する」
リーはその後、俺達のトラックと合流し今はリーの地面に書く"作戦"の内容を皆で囲って作戦会議を始めた。
丸くチェックされた「打倒、ダニエル」の文字。それに期待か恐怖からか、ゆうたは心臓の鼓動を大きくさせる。
リーの説明ではペットボトルでできた爆弾の容器の底に何故か支給された火薬をぎっちり圧縮させ、それにギリギリに配置された火打ち石を揺らして落とし、石どうしが衝突して見事火花が散れば爆発するらしい。
火薬を詰める層を密封することで爆発させているらしいが、ゆうたたちには理解できなかった。
そしてここからが重要だ。ガルシアはゆうたたちとの戦闘後消息は不明だったがリーがこの一帯で目撃したらしい。人形爆弾を配置したのもこのためだと言っていた。
つまりこの勝負は賭け。運の類だ。居るかどうかもわからない敵を倒そうとしているのだから。
「そしたらおとりとかどうかしら?」
八夢が提案する。つまりはこうだ。広い森の中でめいいっぱいの声量で叫ぶ。戦闘民族であるガルシアはこの声の主を殺すために全力で向かってくる。そこを爆破するというわけだ。
これなら可能性はある、ということで決定したが問題は一つ。
「誰がおとりをやるんだよぉ……」
そういうゆうたに視線が集中し、目が語る。「お前がやれ」と。
ゆうたは「やっぱりな」と呟き、反論する気にもなれず承諾するのであった。




