エピソード17 『真実』
「リー・ミン選手の仕掛けた爆弾が見事命中!!!!これは痛い!!!」
「即死でしょうねぇ……」
実況は未だなお続いていた。狂ったような歓声と、冷めない観客の高揚っぷりはどこか宗教じみて異質なオーラを醸し出していた。
「っとここで一旦休憩になります」
蜂ぶどうがそう告げると観客がわらわらと席を立ち各々の休憩に入る。
「どうしましたか、有村さん」
いましがた休憩の指示を出した有村の意図を探るべくぶどうは聞いた。
すると少し頬を歪め微笑した有村がろりへにょとぶどうに告げる。
「今、Y-018が行動に出た。そろそろ議会にも感づかれることだろうな」
ふーっと息を吐くと、次は渋い面持ちで声を低くくし二人の顔を直視して告げた。
「君たちの席、そうそこだ。引き出しの下から二番目に私からのプレゼントを用意してある。
非常事態に備えたものだ……私は急用ができたからあとは任せたぞ」
すると蜂ぶどうはそれだけで有村の言葉を理解したらしく、真剣な面持ちでうなずく。
当然、ろりへにょも理解しただろうが、そこで恐怖を顔に貼り付けた。
「ぼ、僕たち本当に大丈夫でしょうか……実射経験も少なく……」
「なぁに、案ずるな。このことは下の奴らにも伝えてあるし、ここが一番安全だろう」
そう言うと「じゃ」と言い残し有村は去っていった。
その背中は、長年の苦労を背負いどっしりとしていてなお、悲願の成就を迎える喜びにあふれているようであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
ブロロ……
車が止まったのを感じ、けいちゃんは目を覚ました。
1時間くらい眠ったか……?
するとようやく荷台の蝶番がキキキ…と音を立て開く。
入る光にめをしばしばさせながらけいちゃんはゆっくりと荷台から降りた。
「おうなんだ。拉致った割にゃ歓迎されてるみてぇじゃねぇか。なぁ」
戸を開けた男はフードをかぶっており顔は不明だが、「こちらへどうぞ」と手振りをしながら言いけいちゃんを案内する。
どうやらそこは建物の駐車場らしく、荒廃しておりまだそこがなんだかわからなかった。
「オイ、ここは一体どこなんだァ?俺に何を期待してやがンだ。なぁ」
それにフードの男は何も答えずただひたすら歩く。
今逃げても場所もわからずじまいで逆効果だと判断したけいちゃんは従うほかなかった。
裏口が木材等で封鎖されているらしく、それに男は見向きもせず歩いた。
するとようやく建物の正面が見える。
コンクリートの建築物で、それは病院を想起させるような無機質な建物だった。
看板もついていたらしいが文字が剥げてよくよめない。相当昔の建物なのだろう。
男は入り口の壊れた扉の片方をくぐり抜けていた。しばらく観察しているけいちゃんを律儀に待っていたらしく、じーっとコチラを見ている。
「わーってるよ、待たせて悪ィな。なぁ」
建物の中に入ると、扉の両脇に同じようなフードの男が二人静かに佇んでいた。
気色悪ィ……と思いつつ、建物の地下に続くと思われる階段を少しづつ降りていった。
明かりはなく、男はよる目が効くのか構造を見なくても把握しているのか歩みは一切止まらない。
するとすこし明かりが漏れている一室にたどり着き、そこでようやく止まる。
するとけいちゃんの方を向き、その場で静止した。
「ンだ?入れってことか。なぁ」
男の意図のままにその扉を開けると、そこには異様な景観が広がり、けいちゃんは絶句した。
「ンだよ……これ……なぁ……」
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