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山奥ドライバー ―ping999―  作者: レオン
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エピソード10 『ゲームの真相』




「んむぅ……」


少女は俺達の起こした焚き火に照らされ、心地よさそうに寝ている。

けいちゃんの着ていた革ジャンと、貧相なダンボールで造られたベッド。

しかしそれは今あるベッドの中で最上級と言ってもいいだろう。


この自然の中では。


「なぁ、お前ェ本当に何も知らねぇのか?なぁ」


「本当に知らないよ。俺の知ってる人なんて、母親とお婆ちゃんくらいかな」


焚き火を囲む俺達はダニエル・ガルシアとの衝撃の邂逅の後、しばらくここで話し合うことにした。

少女の事、ダニエルのこと、ゲームのこと、そして―俺の能力のことだ。


「お前ェさっき妙な事してなかったか?なぁ」


「あぁ……自分でも驚いてるよ。夢なんじゃないかって疑ってもいる」


「それは俺が違ェって保証するけどよ。なぁ」


けいちゃんの言う『妙な事』つまりそれは俺が起こした奇跡。


その奇跡を俺はなんだか知っていた。<<Ping 999>>命名するとすれば、これがふさわしい。

Pingとは、ホストとクライアントの通信において通信の応否を確認するものだ。そして数字はその応答速度、といえば早いか。

ここでは数字が高ければ高いほど差異が生じ、ネットゲーマーにとっては致命的な数字でもある。

通常、どれだけ回線が遅かろうがここまでの差異を生じさせるのは例がない。

ちなみに、俺はこの大会に出場するために勝ち取った功績のその全てがこのラグによるものだといっても過言ではない。


この奇跡は使いようによっては無敵にもなれる。


「もしかすると、これは現実じゃなくてネットゲームの延長線上に過ぎないのかもな。」


「どういうことだよ。なぁ」


「ここで考えられるのは、グラフィックが良すぎるHUD無しのVRゲーム内。またはいつの間にかこの大自然にワープしてきたか。そのいずれだと思う」


「でも味覚はどうすんだよ、なぁ」


「味覚も痛覚も錯覚かもしれない。聞いたことがあるだろう?ある医者が死刑囚に鉄の棒を手首に当て、切ったと錯覚させて殺した実験」


「趣味が悪ィな。」


「それなんじゃないかって疑ってる。」


「―それはないわ」


斜め上からの返答に、全く警戒をしていなかった俺は心臓を握りつぶされたかのような驚きに目を丸くした。

それはけいちゃんも同じで、その第三者の来訪に目をパチクリさせている。

それは先程ダニエルに飛ばされた「」に他ならなかった。


俺の真後ろに現れたこの女は顔面がゆがんでいるかのような錯覚をするほどぐちゃぐちゃになり、たっているのもやっと、という感じだ。

右腕を抑えながらゆっくりと俺達の間に入り座った彼女は「お水くれる?」と言い、それにけいちゃんが応える。

水を少し含んだ後、真剣な眼差しで口を開く。


「今はこんななりだけど、心配しないで。ほっとけば治るでしょ」


「生きてたんですね……」


「確かにあれはやばいと思ったわ。けど、別に慣れてるから平気よ」


「それより違うってどういうこったよ、なぁ」


荷台にあったのだろう包帯と治療キットを差し出しながらけいちゃんが問う。

「」は「どうも」と言い治療をしながら話し始めた。


「私は小さいときから睡眠薬に強い体質でね、もしかしたらこのゲームの真相を知ってるのは私だけかもね」


「睡眠薬……?」


「えぇ。あのガルシアでさえ気づいてないみたい。私達実は4、5日前から飛行機でここまで搬送されたのよ」


寝耳に水だった。飛行機で搬送?会場から?どうやって―

混乱していると、彼女が答えを教えてくれた。


「あの配られたヘッドセット、重かったでしょう?あれのせいじゃないかしら。あれを付けた時、恐らく私達を眠らせた。」


「でも」というと彼女は唇に人差し指を当て「しー」と言い言葉を遮る。


「会場からってことは、観客も、司会も、運営もグルだと考えていいわ。はめられたのよ、私達」


つまるところ、彼女が出した答えはこうだ。俺達はJTS2の大会という大きな餌にまんまと食いついたデスゲームの駒。恐らく、見世物ということだ。


「俺達ァ見世物だっていうのか、なぁ」


「えぇ。きっと飢えた富裕層だかがこの世にない娯楽を求めているんでしょうね……」


「ありえねェ!!!」


内心、けいちゃんと同じ言葉を返していた。しかし彼女の話が本当なら、俺達は本当に殺し合ってゲームをクリアしないといけないのかもしれない。

運営の思う壺だし、気に触る程度じゃすまない。

運営が用意したゲームに、ステージ。連絡手段も皆無のここには法律がないことも意味しているだろう。


「落ち着いて、とにかく私達、手を組まない?」


包帯を顔に巻き終え半分ミイラのようになった彼女は今までにないくらい真剣な面持ちで提案してきた。

仲間が増えるのはありがたいことだが、こいつは先程焚き火をしていた俺達をひき殺そうとしたやつだ。

信用なんてできな―


「いいゼ。なぁ」


乗った―!?


なにか考えがあるのか、けいちゃんはニカっとこちらに満面の笑みを見せ、「いいだろ?」なんて言ってくる。

けいちゃんがいうなら仕方がない。と半ば諦めつつ俺も「これからよろしく」と手を差し出した。

そして帰ってくる返答はこの日一番の衝撃を俺に与えたのであった。




「私…………いえ。俺は八夢。よーむって呼んでね!」




「男だったのかよ―――!!」




俺とけいちゃんは絶叫した。


表現するのがもう面倒で駆け足になりました。

あとは脳内補完でなんとk

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