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 この澄くんのノートになにが書いてあるのかすごく気になったが、それは(さすがに勝手には)見ない。星は(中身を見たくてうずうずしたが)好奇心を抑えて我慢することにした。

『そろそろ席に戻ったら? 澄、もう戻ってくるかもしれないよ』

 魚は星にもう一度忠告する。

「そのときはちゃんと声をかけてよね。小川のときみたいなのはもう無しだからね」

 星はそう言って机の上の観察を続ける。

「ねえ魚。これってなんだと思う?」

 星は机の一番奥に綺麗に並べられた二つの大きさの違う綺麗な石を見ながら魚に尋ねた。ほかの物は机の上にあっても(一応は)おかしくない印象を受けるが、この二つの石にはちょっとだけ違和感を感じた。

 なぜ、この石たちはこの場所に置いてあるのだろう?

「なにってどうみたって石でしょ?」

 魚はとくにその石には(……と、いうよりも澄くんのことには)まるで興味がないようで、すごくそっけない。

「だけど、すごく綺麗な石だよ。どうみても普通の石じゃないよ」

 少し大きめの石と、……それより少しだけ小さい石。きっちりと並べられているようで、どことなく、とても仲が良さそうに寄り添っているようにも見える。

 この二人の綺麗な石にはいったいどんな意味があるのだろう? なにか人と人の関係を表しているように星には思える。(もしそうだとしたらこの二つの石の関係は兄妹だろうか? 恋人たちだろうか? それとも仲の良い夫婦だろうか?)

 それともそんなことはまるで関係がないのだろうか? もっと深い意味があるのだろうか? (もしくはなんの意味もないのだろうか?)

 そんなことを考えていると、星の心はいつの間にか童心に返ったようにわくわくした心で満たされた。

 もしかしたらこの石は、そうやって石を見る人の心を子供に戻すための特殊な装置なのかもしれない。

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