表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/447

91

 二人は作業を再開した。

「演劇って結局、なにやることになったの?」

 ずっとクラス会議をさぼっていた星は海にそう聞いた。

「『月』っていうタイトルの劇だよ」

 海は一生懸命、真面目に板にペンキを塗りながら星の問いにそう答えた。


 ……『月』? 月光ではなく、(満月とか、月読みとかでもなく)ただの月。……ずいぶんシンプルな題名の劇なんだな、と星は思った。


 本を読むことにかけては少し自信のある星なのだが、そんなタイトルの本は(演劇の本も含めて)見たことも聞いたこともなかった。

「それって結構有名なお話なの?」

 もしかしたら『月』とは文学ではなく、演劇の世界では、とてもメジャーなタイトルなのかもしれないと星は思った。もしそうであれば星が(あまり興味のない演劇分野の本ということで)見逃している可能性はある。なにせすべての本を読むことは(あるいはインデックスすることは)どんな人間にも不可能なことなのだから。

 星は海に質問しながら頭の中でそんなことを考えていた。

「全然有名じゃないよ。だってこのお話、私の実家にある倉庫の中で見つけた、とっても『古い本』の中のお話なんだから」

「古い本?」

 星には海の話がよく飲み込めない。そんな星を見て海はにっこりと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ