70
『とりあえず、目的を果たしちゃえばいいんじゃない?』
目的?
『まず勝手に森の中を歩き回ったことを(その部分を魚は強調する)澄に謝るってことは達成したんだし、青猫の手当ても一応できたんだし、次は海だね。海のことを澄に尋ねてみればいいんじゃないかな?』
魚の提案は的確だった。(もちろん星も海のことを聞きたかった)
どうして青猫の逃げた先に海がいるかもしれないと澄くんは考えたのだろう? その理由を(そしてもうわかっているとはいえ、その結果を)澄くんに確認しなければならない。
星は納得すると少しだけ移動して、直ぐ近くにいる澄くんとの距離をさらに縮めた。(青猫がぐったりと大人しくしているので、いつもよりも星の詰める距離は鋭く、そして近くなった)
澄くんは少し動揺した。でも星が真剣な表情をしているのを見て、直ぐに澄くんも真剣な表情になって星を見た。(いつもの澄くんに戻ったのだ)
いつもの澄くんを見て、星もいつもの星に戻ることができた。
「澄くん、あのね、海のことなんだけどね……」
星がそう澄くんに聞いたとき、空からなにか冷たいものがぽつんと一つ、星の頭の上に落ちてきた。星は空を見上げ、それを確認する。
「雨だ」
片方の手のひらを広げてそう澄くんが呟くころには、天気は突然の土砂降りへと変わっていた。
第二幕 終演




