52/447
56
青猫はすでに遠目から見てもぼろぼろだった。
何度も転んだのだろう。その体は傷だらけで、骨折をしていると思われる後ろ右足はもうほとんど動いてはいなかった。
それを確認して、星の胸が痛くなる。
『ちょっと待って。森からなにか来るよ。注意して』
青猫ばかり見ていた星に魚がそう忠告する。
「なにかって、なにが来るの?」
『そんなの僕にはわからないよ。とりあえず、なにかがすぐ近くにいる。それがこっちに向かってる』
この忙しいときになんなのよ。
できればもう少し青猫に追いついてからそうしたかったのだけど、仕方なく星は森から大きく距離をとる。
すると次の瞬間、魚の言った通り、森からなにかが突然飛び出してきた。
星は驚いたが、それ以上に青猫が驚いている。
それもそのはずで、そのなにかは星の少し右前方にある青猫のすぐ横の森から飛び出して、そのまま青猫に突進するように飛びかかったからだ。