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 目を覚ますと木蔭はお兄ちゃんの背中の上にいた。

 どうやらお兄ちゃんは眠ってしまった木蔭をみつけて、木蔭をおんぶしてくれて自転車を押しながら、家まで歩いて帰っている途中のようだった。

「お兄ちゃん」と木蔭が言った。

「あ、木蔭。起きたんだ。眠いならまだ眠っていてもいいよ。家まではもうすぐだから」優しい樹お兄ちゃんの声が聞こえた。

「ありがとう。そうする」とぎゅっと大好きなお兄ちゃんにしがみつきながら木蔭は言う。

 樹はなにも木蔭に聞いたりはしない。本当はいろいろ聞きたいと思うけど聞かない。木蔭から話をするまでちゃんと待ってくれる。……優しいお兄ちゃん。

「お兄ちゃん大好き」甘えるような声で木蔭は言う。

「僕も木蔭のことが大好きだよ」とにっこりと笑って(よく見ると、なぜかほっぺたに赤い手のひらのあとがある)樹お兄ちゃんは言った。

 木蔭は次の日からいつものように朝いってきますを言って、小学校に通って、ひとりぼっちで小学校を過ごして、夕方にただいま、と言って家に帰ってくる普通の毎日を過ごした。

 飾と出会ってから通い詰めていた東雲神社にはいかなかった。飾が木蔭に会いにきてくれると約束をしてくれたから、本当はすごくいきたかったのだけど、いかなかった。(ちゃんと我慢した)

 ……でも、時間がたつにつれて、だんだんと不安になった。そんなときは、大丈夫、大丈夫、と自分に何度も言い聞かせた。

 それから数日後のことだった。

 木蔭がいつものように下を向きながら、ひとりぼっちで小学校から帰ってくると、自分の家の前で、きょろきょろと周囲の風景を見渡しながら、木立家の玄関から家の中の様子をちらちらとのぞいている不審者のような動きをしている翡翠色のワンピースを着ているポニーテールの髪形をした変な女の子のことを見つけた。

 そのずっと見たかった後ろ姿を見つけてうれしくなった木蔭はいたずらを思いついて、その変な女の子に見つからないようにこっそりと隠れながら近づいて、きゅうに後ろから「わ!!」と大きな声をかけて、その変な女の子のことをすごくびっくりさせてやろうと思った。(わくわくしすぎてしかたがなかった)

 

 飛び、跳ねるように。 終わり

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