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 咲はとりあえず神社の奥にしまってある古い文献を片っ端から仁くんと一緒に読んだ。どこかになにかのヒントがあるかもしれない。歴代の春原の巫女が今の咲のようにとても大きな自分一人だけじゃ手に負えないような、そんな大きな運命と対峙したときにどうやって対処をしたのか、その方法がどこかに書かれて、残されているかもしれないと思った。

「なにかあったか? 咲」

「なにもない。ただの古いおとぎ話ばっかり」埃っぽい本を閉じながら咲は言う。

「文献はこれで全部?」

「そのはずだけど、……まだあるかな?」探してみるけど見つからなかった。

「まいったな。とりあえずどんなことが起こるのか、それがわからないことには頑張りようがないもんな」腕組みをして仁くんはいう。

 咲の占いはあくまで占いなのでどんな結果が出るのか咲自身にもわからない。それがどれくらい具体的なイメージを持つ未来なのかもそのときどきでまちまちだったし、あやふやだった。すごく具体的なことがわかることもあれば、なにもわからないこともあった。今回の占いもそうだった。『なにもわからない』のだ。咲にわかるのはこれから数日いないになにかよくないことが起きて、三万人の人が死ぬ、と言うことだけだった。

 神社の建物の外の空はもう真っ暗になっている。

「今日はこれくらいにしよう。ぐっすり寝て、続きは明日にしよう」

「……うん。わかった」眠たい目を擦って咲は言った。

「じゃあ、また明日」

「おう。また明日な」

 そう言って笑顔で(私に心配をかけないために)仁くんは自分の家に帰っていった。

「さてと」そう言って咲は両方のほほを手のひらで同時に叩くと気合を入れて(赤い頬をして)神社の奥に歩いていった。(いつもなら眠いから寝ちゃうけど、今日はそう言うわけにはいかないのだ)

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