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 言いたいことがあったの。どうしても、あなたに伝えたいことがあったの。走る海の背中を見て星は思う。

 ……海、私、海のこと、……本当に、本当に大好きだよ。そう言って星はにっこりと笑った。

 手紙の中で海が言ってくれた言葉を星はずっと海に告げたかった。

 だからその言葉を海にきちんと伝えることができて、本当に嬉しかった。

 だってそうでしょう?

 一方的に言って、さよなら、なんてすごくずるいよ、海。

 星は海とお別れをしたときの、海の泣き顔を思い出した。海の泣き顔なんて、初めて見たよ、私。びっくりしちゃった。

 星は海の背中を見ながら、海について暗闇の中を走っていく。

 星はさらに思考する。

 海は完璧なんかじゃなかった。ちゃんと友人を必要としていた。海に頼ってばかりの私はそんなことにも気がつけなかった。……友達失格だ。だからちゃんと謝らないと。これからは私が海の力になってあげるんだ。私と海は、そんな関係になるんだ。

 星の思考はさらに飛ぶ。

 ……私、そんなに強くなかった。海がいなくちゃ、やっぱり私はだめなんだよ。海がいてくれて、私は初めて、いつもの明るい本田星になれるんだよ。

 海は澄くんや魚と違って、星になにも語りかけてはくれない。それは今、目の前にいる海が本物の海ではなくて、海の幻影であるとわかっていても、すごく悲しいことだった。

 星は海と、もっときちんと顔を合わせて、お話がしたかった。

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