213
夕食の献立はパンとコーンスープ。それから蒸したジャガイモとこんがりとよく焼いたベーコンだった。
あの短時間で、しかも慣れない始めてのキッチンで、大したものだと海は感心した。それは渚も同様だったようで「おー」と小さな歓声を上げながら、いつもとは違うきらきらした目でテーブルの上のそれらの料理を見つめていた。
リビングの中には、とても良い夕食の美味しそうな香りが漂っていた。
「飲み物はコーヒーでいい?」澄は聞いた。(食材は自由に使って良いと、渚が許可を出している)
「うん。それでいい」
「それでいい」
二人は澄に答えた。
海は砂糖を入れたブラックのコーヒー。
渚の飲み物はミルク入りのコーヒーだ。
三人は椅子に座っていただきますをしてから、食事を始めた。澄の作ってくれた夕食はとても美味しかったけど、食卓はずっと無言だった。(まるで実家に戻ったみたいだと海は思った)
澄はその制服どうしたの? 星と一緒だね、と海に聞きたそうだったし、海も森の中での星の生活を聞きたかったのだけど、どちらも聞けずじまいだった。
渚はそんな二人の顔を交互に見ながら、なにか会話を……、と様子を探っているみたいだったけど、結局なにかを話し始めることはなかった。
夕食のあとはコーヒーのおかわりを三人とも一杯だけして、(澄も海と同じ砂糖入りのブラックコーヒーをおかわりした)三人は一緒に夕食の後片付けをした。
それから三人は再び、リビングの席に戻った。
海は暖炉に新しい薪を何本か入れて炎を絶やさないようにした。
その作業の間に、一度リビングを出た渚は、その両手に荷物を抱えて、すぐにまたリビングの中に戻ってきた。その荷物とは、星が森の中に残していった荷物だった。




